出版社内容情報
武士はいかにして日本の統治者となったのか? 気鋭の日本中世史家が、王権の在り方を検証しつつ、新たなこの国の歴史を提示する!
内容説明
“王権とは王たる意思である。王であろうとは自らの統治に属する地域を掌握し、そこに生きる人々と自らの行いを因果関係として能動的に認識することである”。鎌倉から室町時代、東国の武家が掌握した王権をどう活かしたかを検証しつつ、この国を統べる天皇、そして国家の成り立ちを考える記念碑的著作。
目次
序章 武門の覇者の類型
第1章 東国武士の肖像
第2章 幕府草創
第3章 競争者たち
第4章 承久の乱
第5章 北条氏政権の骨格
第6章 幕府内の断裂
第7章 争乱が指し示す行方
第8章 北条氏政権の終焉
終章 武門の覇者と国家像
著者等紹介
本郷和人[ホンゴウカズト]
1960年、東京生まれ。東京大学史料編纂所教授。東大文学部・同大学院で石井進氏・五味文彦氏に師事し、日本中世史を学ぶ。専攻は中世政治史、古文書学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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nagoyan
6
優。東大史料編纂所教授であり実証史学者として実績がある著者が、日本史最大の主題である公武関係論を論じたもの。幕府=部門を、天皇または治天の君(院)の下の公家、寺社と同等の権門の一つとする黒田「権門体制論」を、天皇権威を過剰に重視しているものと切り、返す刃で過剰に幕府の自立性を主張する「東国国家論」を切り捨て、東西の「二つの王権」論を主張する。鎌倉幕府における実質的な支配者であった北条得宗家が武家の「首頂」と成り得た、また、「首頂」にとどまった理由を考察する。2017/07/22
ミカド
1
鎌倉幕府成立期から滅亡までの日本中世における朝廷と武家社会との抗争、連携について分析した本。とりわけ実質的な武家の首長であり絶大なる権力を有した北条得宗家がなぜ将軍になれなかったのかについて分析している第5章は非常に興味深い。2020/07/11
三城 俊一/みきしゅんいち
0
日本中世史を専門とする著者による、「鎌倉の王権」をテーマとした本である。書名は「中世」であるが、最後に後醍醐天皇が出てくるくらいで、鎌倉時代の議論がメインである。とりわけ、鎌倉幕府の内紛である霜月騒動への評価が面白い。日本史教科書などを見ると単なる内ゲバにしか見えない。しかし、霜月騒動の内実は、「御家人の既得権を守ろうとする平頼綱」vs「幕府を日本全体の統治者に脱皮させようとする安達泰盛」の対立であったという。後者は前者に敗れ、鎌倉幕府が「日本の統治者」に進化していくことはなかった。2021/09/29
冬至楼均
0
鎌倉時代が中心なのはご専門だからでしょう。
(ま)
0
内紛だらけで判りにくい鎌倉時代を判りやすく。 権門体制論・東国国家論に喧嘩売ってるな・・・2018/10/18