出版社内容情報
作家倉田百三ら、近代日本の多くの神経症患者を救った森田正馬。その功績を問いつつ、現代にまで続く「病める社会」に警鐘を鳴らす。
渡辺 利夫[ワタナベ トシオ]
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ジョニジョニ
12
ソクラテスが面白い、と思う感じと、森田正馬は似ている。哲学は論理学へ派生もしたけど、本来はどう生きるか、死とは何か、を考えるものなんじゃないだろうか。考えすぎて、わけわかんなくなっちゃった倉田百三を例にあげ、森田療法で治癒されていくのがわかる。心身症、神経症とはいわず、神経質なんだとこだわる、そこが大事です。たいていの人は、神経質でしょ。無神経な人なんて、そうはいないからね。つまり、大抵の人は森田療法で、楽になるんだと思います。2022/01/03
Sunlight
8
「不安常住」。森田療法という言葉は聞いたことがあったが、詳しくは知らなかった。ただ、この本は森田療法をあれこれ説明するのではなく、森田正馬という人とこの療法に救われた人の人生を辿りながら、生きることの意味を問う非常に重たいテーマを扱っている。「出家とその弟子」の倉田百三も正馬に救われた。一層複雑化する社会で自分も含めて不安や病気とどう向き合っていくか、考えさせられまた改めて生き方を見直すきっかけとなりそう。2017/01/12
Ohe Hiroyuki
3
経済学を専門とする著者が、心の師と呼ぶ森田正馬の人となりを振り返りつつ、森田本人及び森田療法を囲む人々の生涯をも著者独自の視点で書ききった本である。▼本書は医学的な専門書ではない。だからこそ「神経症」を書く著者の筆力に考えさせられることも多い。▼本書に通底しているのは、死と生であると思う。本書が描く死へ向かう道の様相は、なかなか胸に迫るものがある。▼私は、著者を前に、著者の著作について発表するという機会があり、本書を手に取った。なかなか本書を手に取る機会はないと思うが、読み切って思うところの多い一冊である2021/07/27
sayoA
1
筆者は精神科医ではないが森田療法(というより森田哲学)に精通していて驚いた。倉田百三が強迫性障害になっていく描写が面白く、多くの芸術家が精神を病む理由が理解できた。岩井寛のことはこの著書を通じて初めて知ったが、死を前に目的本位の生き方を実践すべく奮闘する姿に心打たれた。森田哲学は神経症患者だけでなく「よりよく生きたい」と願い葛藤する全ての人の役に立つだろう。2023/12/19
寅ちゃん
1
私は、不安や恐れにあるがまま感じることを許しているだろうか? 受け入れてるつもりでも、あまり神経質な面が良くならない気がする。もう少し、年取れば、理解が深まるだろうか?2020/07/13
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