出版社内容情報
二〇世紀聖書学の飛躍的な成果を踏まえ、日本人には縁遠い「旧約」の世界も含め、聖書の全体の見取り図を明快に示す最高の聖書入門。
「聖書」は、史上最大のベストセラーにして、世界史に最も影響を与えた書である。私たち日本人にしても、「聖書」を知らない人は、まずいない。しかし、聖書についての正しい知識となると、きわめて心もとないだろう。
もちろん西洋との接触が本格的に始まった近代以降、聖書は、多くの日本の知識人にも読まれてきた。しかし、それにしても読書範囲は、「新約」にほぼ限られ、「旧約」の世界は、ほとんど手つかずであった。その結果、「旧約」の世界は、私たち日本人には、依然として、縁遠いものとしてある。けれども、「旧約」を抜きにしては、聖書を正しく理解できない。これこそ、聖書学専門の出版者でもあった著者による、本書の最大メッセージである。
聖書は誤解されている。とくに日本では。その誤解の第一は、「聖書は一冊の本だ」というものだ。日本聖書協会発行の「旧・新約聖書」の目次によれば、旧約は創世記からはじまって39冊の本、新約はマタイによる福音書からはじまって27冊の本から成り立っている。そのおのおのが本(ブック)であって、章(チャプター)ではなく、聖書を一冊の本と考えるのは間違いで、一定の方針で編集された全書と考えたらよいだろう。
「聖書はキリスト教の聖典だ」――これも大きな誤解である。日本人はキリスト教を通じて聖書の存在を知ったため、無理もないと言えるが、聖書の歴史はキリスト教の歴史よりはるかに古く、聖書の大部分は、キリスト教発生以前から存在しており、世界最古の歴史書にして、キリスト教だけではなく、ユダヤ教やイスラム教の聖典でもある「旧約」は、聖書の重要な柱をなしている。「旧約聖書」の世界を背景に、「新約聖書」がどのようにして生まれてきたのか。これを理解することこそ、「聖書」理解の最大の鍵となるだろう。
聖書学の最新の成果を踏まえつつ、「聖書とはどんな本であるか」を明快に解説する本書は、私たち日本人にとって、「聖書」の最高の入門書である。
内容説明
「旧約聖書」の世界を背景に、「新約聖書」がどのようにして生まれてきたのか。これこそ、「聖書の世界」を理解するうえで最大の鍵となる。聖書学の最新の成果を踏まえつつ、「聖書とはどんな本であるか」を日本人向けにやさしく解説する。
目次
誤解されている聖書
聖書誕生の秘密
歴史書としての聖書
イスラエル史としての聖書
日本人にはむずかしい契約の思想
現代も生きる聖書の律法
聖書における預言の重み
革命思想の原点
ユダヤ教の成立とその問題点
聖書のなかの知恵・空と無・恋
キリスト教への胎動(一)―ユダヤ教の三派
キリスト教への胎動(二)―黙示文学と終末論と救済者
キリスト教への胎動(三)―洗礼運動とガリラヤの風土
新約聖書とイエスと同時代の資料
新約聖書のなかのイエス
キリストとは何か―メシア、人の子、神の子、主
使徒の世界―パウロとヨハネ
著者等紹介
山本七平[ヤマモトシチヘイ]
1921(大正10)年12月18日、東京に生まれる。青山学院中等部から高等商業学部を卒業。昭和17年徴兵され、フィリピンで敗戦を迎える。収容所生活ののち22年復員。33年山本書店を創立、主に聖書関係の本を出版。45年にイザヤ・ベンダサン名で出した『日本人とユダヤ人』が大ベストセラーになり、第2回大宅壮一ノンフィクション賞を受賞。以後、雑誌やマスコミの求めに応じ、自らの戦争体験や独自の日本人論を展開、多数の著作を残す。56年、「日本人の思想と行動を捉えた『山本学』」の功績に対して、第29回菊池寛賞を受賞。1991(平成3)年12月10日永眠(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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