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文春学藝ライブラリー
デフレ不況をいかに克服するか―ケインズ1930年代評論集

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  • サイズ 文庫判/ページ数 254p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784168130052
  • NDC分類 331.74
  • Cコード C0198

出版社内容情報

失業対策、国債発行、保護貿易……デフレ脱却の提言を果敢に行った1930年代のケインズ。今日なお示唆に富む、諸論稿を初邦訳。

1930年代のケインズは、直面した経済的困難に対して、問題の本質を理論的に解明し、具体的で現実的な政策手段を提案した。そして、理論的著作の執筆だけでなく、新聞や雑誌への寄稿、あるいは講演という形で、より広範な市民に向けて、みずからの考えを噛み砕いて、積極的に提示し続けたのである。その優れた著作からだけでは掴めない、ケインズのもう一つの魅力と重要性は、ここにある。
デフレ大不況、財政問題、国際通貨問題、貿易問題など、ケインズが格闘した諸問題は、いずれも、今日のわれわれが直面している問題でもある。具体的に、ケインズは、?@雇用の創出効果は広範に及び、十分に大きいこと、?A財政への悪影響は、一般に考えられるよりも小さいこと、?B正常水準からの物価上昇は、景気回復に必ず伴うものであり、インフレではないこと、?C長期金利の上昇を招いて民間投資を締め出したり、国債の借換コストを上昇させたりはしないこと、などを主張した。まさにこれは、今日の脱デフレ政策と通底するものである。
そこで、本書は、「失業の経済分析」「世界恐慌と脱却の方途」「ルーズベルト大統領への公開書簡」「財政危機と国債発行」「自由貿易に関するノート」「国家的自給」「人口減少の経済的帰結」など、1930年代のケインズの重要論稿を十数本、精選し、「世界恐慌」「財政赤字と国債発行」「自由貿易か、保護貿易か」「経済社会の国家の介入」といったテーマ別に編集した。
本書に収録された、いずれも未邦訳の諸論稿は、ケインズの時代と共通する経済的問題に直面するわれわれにとって、多くの示唆や教訓を含み、今後の指針ともなりうるだろう。

内容説明

デフレ不況、失業、財政赤字、国債発行、自由貿易と保護貿易、為替レート、人口減少など、今日にも通じる諸問題に取り組み、市民に向けて平明な言葉で政策提言を行った一九三〇年代のケインズ。今日なお示唆に富み、ケインズ理論のエッセンスが分かる諸論稿を初邦訳。

目次

1 世界恐慌(経済不況のメカニックス;失業の経済分析 ほか)
2 財政赤字と国債発行(国債借換計画と長期金利;財政危機と国債発行 ほか)
3 自由貿易か、保護貿易か(自由貿易に関するノート;関税に対する賛否両論 ほか)
4 経済社会と国家の介入(国家計画;人口減少の経済的帰結)

著者等紹介

ケインズ,ジョン・メイナード[ケインズ,ジョンメイナード] [Keynes,John Maynard]
1883年‐1946年。20世紀前半を代表するイギリスの経済学者。名門のイートン校とケンブリッジのキングスカレッジで学ぶ。1919年、パリ講和会議に大蔵省首席代表として出席。帰国後、直ちに『平和の経済的帰結』(1919年)を刊行し、ヴェルサイユ条約を批判。その後、『貨幣改革論』(1923年)を経て、1930年、その革新性ゆえに論争を引き起こした『貨幣論』を発表。後に『説得論集』(1931年)に収録される論稿で各種の政策論争も展開

松川周二[マツカワシュウジ]
1948年北海道生まれ。立命館大学経済学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

燃えつきた棒

28
1930年代のケインズの論稿を十数本精選し、「世界恐慌」「財政赤字と国債発行」「自由貿易か保護貿易か」「経済社会と国家の介入」などのテーマ別に編集した本。 普段、経済学の本はほとんど読まない(そのため、ケインズはてっきりアメリカ人だと思い込んでいた。)僕が本書を手に取ったのは、以前観たNHKスペシャルの新・映像の世紀「02 グレートファミリー新たな支配者」で紹介されていたケインズの「国家的自給」の言葉に、もう一度ふれてみたかったからだ。/ (1)【では、何が不況を終わらせるのでしょうか。貯蓄の→2025/04/08

Francis

10
「一般理論」でマクロ経済学を確立したジョン・メイナード・ケインズの未邦訳にもかかわらず重要な論文を集めたもの。10年間続けられた日本銀行の異次元緩和策、あるいは2%の物価上昇を目指した金融緩和政策がどうして必要であると考えられたのか、そして不況期にはなぜ財政赤字を伴う財政出動策が必要と考えられているか、この本を読めばおおよその事はわかるはず。最後の「人口減少の経済的帰結」は人口減少期における経済政策について述べられている。未成熟な論考ではあるが、人口減少を必要以上に悲観的に捉える必要はない事が理解できる。2023/08/11

日の光と暁の藍

6
1930年代にケインズが発表した論文集。不況の原因は投資が少ないからだと至る所で主張している。全体を通じて至極真っ当なことしか言っていない。日本に照らして本書の内容を捉えると、日本人の国際的な賃金水準が低いならば日本国内にもっと工場を作るように政府が支援したらよいのではないか?トランプの産業政策を真似る訳では無いが、国内回帰すべきではないだろうか?国家的自給が平和にも繋がるとケインズも「国家的自給」の論稿で述べている。国民経済の重視が理想とする経済の前提条件だ、とも。最後の編者解説が本書の理解に役に立つ。2025/02/23

Moriya Masahiro

2
『狂人VSケインズ』シリーズのネタ元です。不愉快な思いをされた方がいるかも知れませんが書きました。我々はあまりに二者択一や善悪のみで経済を考えている可能性があります。一般理論と違いコラムのような文章で読みやすいです。ぜひ、ご一読を!2014/09/15

ハンギ

0
ケインズの1930年代の経済の評論や論説をまとめて出版した物らしい。計画経済については評価しつつも社会主義、共産主義体制に対しては懐疑的なのが面白かったです。ソ連のスターリンとイタリアのムッソリーニが比べられていて、この時代はまだ戦前だったんだなあと感慨がありました。ゼロ金利については豊かな経済と企業の利潤を求めるためには必要との見方で、日本のゼロ金利政策もそんなに悪くはなかったのかなと思いました。景気回復には投資が増える事が望ましいらしく、簡単な語り口で経済が身近に感じられました。2015/11/04

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