出版社内容情報
小林秀雄、舟橋聖一、井伏鱒二など縁の深い作家や親族が織り上げる菊池寛の様々な素顔。生誕125年を記念して「幻の書」が復刊!
流行作家自ら雑誌「文藝春秋」を創刊、「芥川賞・直木賞」の生みの親、映画会社社長に就任……。「本邦初のプロデューサー」である菊池寛。その数奇で破天荒な生涯を、小林秀雄や井伏鱒二、山本有三など親交篤かった作家仲間や親族たちがつづるエピソードで織り上げる。
内容説明
雑誌「文藝春秋」を創刊し、芥川・直木賞を創設した菊池寛。無邪気でせっかちで、友人思いの、その流行作家の生涯とは?六十一年の歩みを、小林秀雄、舟橋聖一、井伏鱒二などの縁の深い作家や親族が綴るエピソードで織り上げる幻の書を、ここに復刊!
目次
1 垢だらけの天才少年
2 真情あふれる出鱈目さ
3 人気作家の損と得
4 ポケットマネーの出し方
5 無邪気せっかち無頓着
6 そんな社長の裏おもて
7 リアリストの本音
8 夫として父として
1 ~ 2件/全2件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
蔦屋重三郎そっくりおじさん・寺
50
いろんな人の証言でつづる菊池寛伝。みんなの印象は太ってブ男で不潔で現実的な菊池寛。解けかけた帯を引きずっていても平気な人である。昔読んだ長谷川町子『サザエさんうちあけ話』で、菊池寛を訪問したら、だらしなく着た着物の懐から札束が見えていた話を思い出す。しかしこの本、後半は菊池寛本人の著作から引用した年譜に変わる。はたからはわかるまいが貧乏の上に苦労を重ねた人である。そのだらしなさも不潔もその環境から生まれたものだろう。富豪になっても尽きぬ哀しみが見え隠れする。しかし、こんな頼りがいのある男は他にいない。2019/08/25
ショア
18
文藝春秋社が雑誌文藝春秋と芥川・直木賞を創設した作家菊池寛の人柄を関係のあった人物のエピソードで語る。容姿に気を使わずチビデブ不潔で拘りの奇人ぶりがよくわかる。後半は本人著書を引用した年譜を紹介。終戦直後に「人間であるから公事を八、九分考え、一、二分私事を考えることは許されること。しかし私事を八、九分考え、公事を一、二分しか考えない連中は便乗から排斥すべし」との政治的不満が印象的。読みやすくはなかった点と天才というタイトルは如何なものかと思った。2024/10/12
あられ
3
それぞれの「逸話」は魅力があるのだが、菊池寛を語っているようで、その姿が見えないように感じた どこか雑誌のコーナーで一つ一つあれば光輝く、そんな本だと思った なんとか読み切ったが、菊池寛はすごい人だったそのこと以上には感じ取れなかった 記録としては大事と思う2025/01/09
Sumiyuki
3
伝記かと思ったら違った。チビデブメガネ。記憶力抜群。無邪気せっかち無頓着。リアリスト。速書き。お金を持つものは、ないものにまわす。@僕の伝記なんか誰が書こうと思っても駄目だよ。本当のことは誰も知らないんだから。小林君みたいに評論なら出来るけど、伝記は誰にも書かないように僕の行動を隠してるんだ。三十幾つの頃かな、ふとそんな気がして、誰にも知られない生活を持ってやろうと思ったんだ2018/01/28
がっちゃん
2
戯曲を演るにあたっての参考図書。2019/07/30