出版社内容情報
あのへんな生き物って、そもそも何なの? あさのあつこ、半藤一利ら豪華執筆陣が、不思議な魅力に満ちたトトロの秘密を解き明かす。
森へのパスポートはどこ?
あのへんな生き物って、そもそも何なの? あさのあつこ、半藤一利ら豪華執筆陣が、不思議な魅力に満ちたトトロの秘密を解き明かす。
内容説明
1988年公開の『となりのトトロ』は歴代ジブリ作品のなかでも最も子供たちに人気のある名作だ。「森のヌシ神」としてのトトロ像から、昭和30年代の日本の食卓まで、あさのあつこ、半藤一利、中川李枝子、川上弘美ら豪華執筆陣が作品の背景を解き明かす。背景美術・男鹿和雄の世界、サツキとメイの家ほか、カラーページも満載。
目次
1 映画『となりのトトロ』誕生(スタジオジブリ物語『となりのトトロ』編;二本立て制作から生まれた奇跡)
2 監督が語るトトロの世界(トトロは懐かしさから作った作品じゃないんです)
3 『となりのトトロ』の制作現場(「ここまでやったのは、初めてですね。ずいぶん修業になりました」;「やってる時はいつも、もういやだって思うんですよ」 ほか)
4 作品の背景を読み解く(鈴木さん・宮崎さんそしてトトロと私;涅槃西風 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
へくとぱすかる
55
1988年公開。残り1年未満だけど、確かにトトロは「昭和のアニメ」だった。ノスタルジーのために作ったのではない、という言明が繰り返されている通り、今の子どもが見ても、そのままで楽しい映画だ。サツキやメイだって、50年前の「現在」を生きたのだから。自然やエコロジーについて論じる以前に、子どもの心と成長は、今も昔も変わらないのだと思う。二人が何気なく周囲の子どもたちの世界に溶け込んでいくエンドロールで、続編はないのだ、ということに納得するか、それともその後を知りたいか。そこがファン心理の難しいところ。2014/09/27
へくとぱすかる
53
「ジブリの教科書」シリーズで、読んだ本はこれだけ。他にも魅力的なアニメはあるけれど、今後ファンとしての目線で読むことはあっても、物語が謎そのもの、引きこまれる魅力ある存在として、いつまでも記憶にとどまるのは「トトロ」をおいて他にない。本書に寄稿した人々が語る口調が、すでに魅入られているかのようだ。トトロとは何者か。こう問いかけるとき、すでに答えはわかっている。それでも聞きたくなる。何度でも。宮崎監督はノスタルジーで作ったのではないことを強調しているが、映画からひと世代の年月が過ぎた今こそ見たい。読みたい。2023/08/16
吉田あや
51
トトロ製作秘話からサツキとメイのお家の裏設定、隣のおばあちゃんの話など知らなかった情報もいっぱいで楽しかった!大好きな宮沢賢治や南方熊楠の話が出てきたり、川上弘美さん、平松洋子さん、淀川長治さんのトトロ論や話も収録されていてうれしい。「トトロ」という名前は"所沢にいるとなりのおばけ"がつまってできた言葉だったなんて!「このへんないきものは、まだ日本にいるのです。たぶん。」日本の四季と自然の美しさ。忘れてはいけない畏敬の念や共存していく幸せ。トトロに詰まった朗らかな明るさがずっと消えない日本であってほしい。2014/08/22
レモン
45
美術の描き込みの細かさや子どもの動きのリアルな表現に大人になってから気づき感動した。本書でも何度観てもワクワクする、楽しめるという声が多く掲載され、深読みせず難しいことを考えずに楽しむのが一番な作品だと実感。糸井さんとの対談は前回読んだ時はほぼ理解できなかったのだが、少しわかるようになっていた。「となり」という関係性が良い。観賞後に涙した理由、感動した理由を自分に問いかけることを日頃からしてはいたけれど、もっと意識的に考えよう。2023/08/23
けんとまん1007
45
確かに、トトロはテレビで何回見ただろう?それでいて、書かれている通り、何度でも見てしまうし、その度に感動してしまう。意外だったのは、興行収入はそれ程でもなかったということ。ただ、そのあとで長く愛され続けているということだ。懐かしさを覚える背景や、そうそうあるあるということ。そして何より、おばあちゃんとお父さんの声。今でも、脳裏をよぎるくらいに、脳裏に焼き付いている。ここに籠められた宮崎監督の思いが凄すぎる。果たして、自分は、きちんとした読者・観客でいられるだろうか。2020/08/10