出版社内容情報
凶暴な美しさを秘め、友愛を体現するヒロイン像と圧倒的なSF世界。伝説的映画の魅力を立花隆、内田樹ら第一級の執筆陣が読み解く!
内容説明
凶暴な美しさを秘め、友愛を体現する唯一無二のヒロイン像と圧倒的なSF世界―1984年公開の映画『風の谷のナウシカ』は戦後のカルチャー史の中でも異彩を放つ作品だ。当時の制作現場の様子を伝える貴重なインタビューに加え、映画の魅力を立花隆、内田樹、満島ひかりら豪華執筆陣が読み解くジブリの教科書シリーズ第1弾。
目次
1 映画『風の谷のナウシカ』誕生(ナウシカ誕生物語;“賭け”で負けてナウシカは生まれた(鈴木敏夫)
映画『風の谷のナウシカ』の基本設定をめぐって(高畑勲×宮崎駿))
2 『風の谷のナウシカ』の制作現場(ナウシカ役島本須美の制作現場訪問記;血湧き肉躍る「宮崎アニメ」(高畑勲)
「僕は“助っ人”プロデューサーなんです」(プロデューサー・高畑勲))
3 作品の背景を読み解く(遅く起きた頭のがんがんする朝に(満島ひかり)
夢と生きる力を与えてもらったナウシカ(椎名誠)
腐海の生物学(長沼毅))
1 ~ 2件/全2件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
けんとまん1007
52
映画はテレビで観ただけ。それも何回だろう・・・3,4回くらいかなあ。何度観ても飽きることがないし、新たな発見と感動がある。そんなナウシカの背景や、そこに籠められた多くの人の思いが伝わってくる。これは、大きなメッセージがいくつも籠められている。だからこそ、伝わるものの幅広い。それにして、初公開からかなり時間が経過していても、色褪せない凄さがある。2020/08/08
レモン
43
何度観ても飽きないし、観る年齢によって新たな発見があったり違う感想を持ったりするのが、ナウシカに限らず名作たる所以。特に興味深かったのが「腐海の生物学」とE.カレンバックとの対談。汚染された水俣湾で豊かな生態系ができていたというくだりにハッとした。宮﨑監督の膨大な知識量と教養の深さ、そして人間とはどのような生き物かを描くための観察力と探究心に脱帽。理想系過ぎてこんな強いヒロインは実在しないと感じるが、現実味がないと感じないのはそのためか。細部までの作り込みに改めて驚嘆する。2023/08/15
兵士O
36
この本を読んで、僕は宮崎監督の創造性はもちろんですが、高畑Pのナウシカへの理解に心打たれました。普段、一般のアニメ・漫画作品では安易に使われる世界観という言葉、このナウシカでは風の谷に住んでいる人々の生活だけでなく、この現代社会と比べてどう価値観や倫理観が違うのか、ということまで考えが及んでいます。大塚さんの解題を読んで、「興業的には申し分ない、だが宮さんの友人としてのこの映画の評価は30点」という高畑さんの言葉は、まだまだ宮崎駿は作らねばならぬことがある、という高畑さんなりのエールだったと思いました。 2021/10/11
佐島楓
28
制作現場の裏話など資料的価値も高いが、それだけにとどまらない豪華な執筆陣。宮崎駿監督の超人ぶりがこの一冊で理解できる(あの時代にこれだけの作品が制作されたという事実に触れられる幸せ!)。川上弘美さんが書いていらっしゃる文章で、ナウシカが私の身近に感じられるようで嬉しかった。また映画を観たくなる。2013/05/02
saga
24
ジブリファンとしては買わずにはおかないテーマ。宮崎駿、高畑勲らナウシカを制作した人々の話は興味深い。特に映画が封切られた当時のインタヴューが面白い。著名人のナウシカ考察は「教科書」だからか玉石混交の感がある。腐海と王蟲をテロリズムに比喩するのは心情的に受け入れられなかった。エコロジストとの対談も噛み合っていなかったと思う。最後の『風の谷のナウシカ』解題が考察としてストンと落ちるものがあった。2013/05/26