出版社内容情報
95歳の宇野千代が、幸福、恋、仕事、おしゃれ、老い、故郷、暮らしについて語った人生座談。山口県岩国に生まれ、『おはん』『色ざんげ』『生きて行く私』などで知られる女性作家が、自らの幸福観を語った。宇野千代入門としても非常に読みやすい一冊。
雪の日にはだしで学校へ行かされた少女時代、奇人とも呼ぶべき父から受けたしつけ、作家としての出発、尾崎士郎や東郷青児らとの恋、4度の離婚、2度の破産、3度の大病、借金、倒産、晩年の身体の衰え。波乱に満ちた人生を歩みながら、宇野千代は一度も自分を不幸な人間だと思わなかった。
幸福は遠くにあるものでも、人が運んでくるものでもない。どんな境遇にも、自分で見つけにいくもの。苦しいときには悲しみに沈む前に化粧をし、よい着物を着て表へ出る。おしゃれは年齢のためではなく、心を明るく保つための工夫であり、老いは嘆くものではなく、受け入れながら愉しみを探すもの。
95歳になってなお恋を語り、百歳までもおしゃれをしたいと願い、まだまだ死なないと笑う。その言葉には、単なる前向きさではない、幾度も傷つき、働き、立て直してきた人だけが持つ明るさがある。自らの体験から語る、人生を暗くしないための幸福論。
本書では「人は誰でも幸福になれる」「人間の能力は無限である」「仕事を愉しんで成功させるために」「おしゃれ上手は生き上手」「女性は全生涯が結婚適齢期である」「人生は行動することである」など、十の項目に分けて、宇野千代自身の幸福観が語られる。
雑誌『スタイル』ときものの仕事、借金返済の日々、入院生活を遠足のように愉しんだ話、耳や目が弱くなってからも原稿を書き、おしゃれを続けた日々。どの話にも、人生を嘆きで終わらせない実践がある。
幸福を知るには才能がいる。その才能は、生まれつきではなく、日々の心の向け方によって育てられる。自分を不幸だと思わないこと。長所を見つけること。時間を守ること。身の回りのものを大切にすること。悲しいときほど、からだを動かし、表へ出ること。老いても恋を笑わず、仕事を手放さず、自分流の暮らしをつくること。
宇野千代の言葉は、きれいごとの慰めではなく、人生の底をくぐった人の生活術として響く。読み終えたあと、読者の手元に残るのは、成功譚でも名言集でもない。明日の朝、顔を洗い、服を選び、人に会い、もう一度自分の生活を始めるための力である。
恋、仕事、おしゃれ、老い、幸福を本人の声で読む一冊。人生後半を迎えた人にも、これから働き、恋し、迷う人にも届く。女の一生、暮らし、生き方を考える読者にもすすめたい。代表作を読む前に本人の声に触れたい読者にも最適。女性作家、随筆、老い、恋、幸福をめぐる入門書。明るく骨太で、何度でも読み返したくなる言葉がここにある。文春文庫新装版として刊行。解説・黒柳徹子。
【目次】
「はじめに」
第一カ条 人は誰でも幸福になれる
幸・不幸は本人の気の持ち方次第である
私の幸福観は父親によってつくられた
幸せはどこにもある。どんなところからでも探し出せる
幸福は幸福を呼ぶ。幸福は伝染する
第二カ条 人間の能力は無限である
能力は無限である
能力は即ち情熱である
能力は天与ではない。つくるものである
積み重ねた能力が才能の花を咲かせる
第三カ条 仕事を愉しんで成功させるために
仕事とは続けることである
毎日毎日続けることである
仕事は打ち込むほど面白くなる
私は二つの仕事を矛盾なく両立できた
難しい仕事は進んでやるとたやすく解決する
第四カ条 おしゃれ上手は生き上手
美人になるかならないかはあなた次第です
おしゃれは金をかけるのではなく手をかけ、心をかけることです
欠点はうまく利用して。私流おしゃれちゃんちゃんこ
百歳までもおしゃれしたい
第五カ条 女性は全生涯が結婚適齢期である
九十五歳、今も私は恋をしています
結婚生活を永続きさせるために
女は全生涯が結婚適齢期です
たとえ失敗しても、「生きのよい」人生を!
第六カ条 人生は行動することである
生きることは自分を表現すること、行動すること
私の人生は駆け出し人生
くよくよしない、無理をしない。私はいつも自然体
夢中で生きることが困難を切り抜ける方法である
第七カ条 信じる心が人と人を結ぶ
善意だけが人と人の心を和でつなぐ
時間を守ることは、人とのつき合いの上での最低のルールである
プライドをちょっと隠すと、言葉はやさしく顔はおだやかになる
尊敬と愛の人間関係ほど強いものはない
第八カ条 自分流の暮らし方を創る愉しみ
自分流の人生を創る暮らし
私の暮らしはシンプルライフ
私はとてもものを大切にしています
食生活は三十年来同じです
禁止も規制もありません
第九カ条 故郷すなわち私である
私はとても親孝行な娘でしたが
私は故郷には帰れない
私の故郷は日本一。私は日本一の幸せ者
故郷すなわち私である
第十カ条 人間の寿命は百二十五歳まである
人間は百二十五歳まで生きられる
心静かに、呼吸は長く体を動かして
笑顔はよい気をたくさん集める
私はまだまだ死にませんよ
解説 黒柳徹子



