出版社内容情報
その踏切で撮られた写真には、写るはずのない人影が記録されていた。
大都市の片隅で起こった怪異。
最愛の妻を亡くし、絶望の淵にいる記者が突き止めた真実とは?
哀しみ、怒り、恐怖――読む者の心に様々な感情を喚起する、ホラーを超えた新たな幽霊小説の誕生。
迫真の筆致で描かれた、生と死についての物語。
第169回直木賞候補作
【目次】
内容説明
その踏切で撮られた写真には、写るはずのない人影が記録されていた。大都市の片隅で起こった怪異。最愛の妻を亡くし、絶望の淵にいる記者が突き止めた真実とは。哀しみ、怒り、恐怖―読む者の心に様々な感情を喚起する、ホラーを超えた新たな幽霊小説の誕生。迫真の筆致で描かれた、生と死についての物語。
著者等紹介
高野和明[タカノカズアキ]
1964年生まれ。映画監督・岡本喜八氏に師事し、映画撮影スタッフ、脚本家を経て小説家に。2001年『13階段』で第47回江戸川乱歩賞受賞。11年『ジェノサイド』で第2回山田風太郎賞、第65回日本推理作家協会賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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風地
23
本当に幽霊の話だった!なんか比喩とかトリックかと思ってた。久々の高野さん、相変わらず読ませる引力が強いな。その幽霊はなぜ踏切に現れるのか、終盤で明かされたときに、切なさに包まれた。大切な人を失った人の物語でもあった。最後の最後に、幼かった頃幽霊話をたくさんしてくれた亡きお母さまへの謝辞があって、なんだか涙が出そうだったよ。親のしてきたことが、こんなふうに子どもの血となり肉となっているのを見ると、永遠とかについて考えてしまう。2025/11/11
のじ
19
寡作だけれどはずれのない作家さんですねー。若い頃に書いたシナリオを基にしているそうで、やや書きたりないのかなーという印象も受けたけれど、仕方ない部分もあるのかな。 下北沢の踏切に出る幽霊のことを週刊誌の記者が調べていくという話で、ホラーというより確かに幽霊譚っていう感じかも。幽霊話の湿度と、主人公の悲しみが終始付きまとって、なんともいえない味になっていました。いつも思うのだけれど、幽霊が出る、ということは、亡くなった誰かがいる、ということで、軽々しく面白がってはいけないよなあ。2025/12/10
ギブソン
18
以前から気になっていたものの、読むのは初めての作者さん。 幽霊譚自体ほとんど読んだことがないので、とても新鮮でした。 やや説明的に感じる部分もありましたが、作者の筆力で一気に読ませるところはさすがです。2025/11/29
RRR
18
哀切と救済が同時に飛来する物語。 あなたは幽霊を信じますか? 僕は「科学では割り切れない事象は存在する」と思っていまして。幽霊譚から物事が大きく動きます。こういう現実もある、やり切れませんね。そして、同時に主人公の心の救済の展開には、僕は落涙しました。 しっかりと読ませる力量はさすがですね。2025/11/28
佐倉
15
雑誌記者の松田が追う下北沢3号踏切にまつわる幽霊の噂。10年以上無事故だったこの踏切に幽霊が現れる道理はない…のだが、調査を進める内に直近に踏切の付近で殺人事件があったことが判明。心霊写真の幽霊と被害者の顔が同じだったことが明らかになるがその女性は身元不明で名前すら分からず…と次々と謎が謎を呼ぶ展開。家庭を顧みなかった松田の懺悔と死したものへの憐憫が物語にエンジンを掛けていく。社会派ミステリ的な筆致、1994年という舞台も古めかしくも魅力的。最後は物悲しくも爽やかな雰囲気を齎すウェルメイドな幽霊譚だった。2025/12/21




