出版社内容情報
【目次】
内容説明
百五十六歳の忍び・石動奇嶽が江戸に出現。ゆるゆると妖刀「村正」を操り、将軍吉宗の側近を襲うその狙いは何か。信玄公時代の記憶に囚われる時代錯誤の妖魔に、吉宗預かりの元小藩下級武士・金杉惣三郎が対峙する。惣三郎は奇嶽をおびき出そうと奇想天外な大舞台を仕掛け、鉄砲隊も潜ませるが―スケール壮大な剣豪小説。
著者等紹介
佐伯泰英[サエキヤスヒデ]
1942年、北九州市生まれ。日本大学芸術学部映画学科卒。デビュー作『闘牛』をはじめ、滞在経験を活かしてスペインをテーマにした作品を発表。99年、時代小説に転向。「密命」シリーズを皮切りに次々と作品を発表して高い評価を受け、〈文庫書き下ろし時代小説〉という新たなジャンルを確立する。2018年、菊池寛賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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コガネイ桜
1
豊後相良藩の元江戸留守居役で、訳あって浪人となって長屋に暮らす金杉惣三郎は今回、元は武田信玄に仕えた忍びの生き残りで、現在156歳で妖刀村正を操る怪物が8代将軍吉宗の天下を揺るがそうとする企みに立ち向かうことになる。吉宗の信任厚い南町奉行大岡越前守忠相と共に、敵をおびき出すために江戸市中で本格的な芝居を興行するなど、従来の時代小説の枠組みを大きく超えた設定に驚かされる。いつもながら、結果的に全てが上手くいく展開で安心して読めたが、武士達が藩や家等のしがらみに縛られながらもかなり自由な点は少し戸惑う。2025/09/20