出版社内容情報
【目次】
内容説明
物語を読み取れない子どもが増えている。葬儀で村人が煮炊きする場面を「死体を煮ている」と誤読する小学生たち。家庭による教育機会の格差を、公教育が是正できなくなっている―取材をすすめる中で著者は、現実に直面する。根源には何が?国語力は再生できるのか?現代日本の不都合な真実に正面から挑む、渾身のルポ。
目次
第一章 誰が殺されているのか―格差と国語力
第二章 学校が殺したのか―教育崩壊
第三章 ネットが悪いのか―SNS言語の侵略
第四章 三四万人の不登校児を救え―フリースクールでの再生
第五章 ゲーム世界から子供を奪還する―ネット依存からの脱却
第六章 非行少年の心に色彩を与える―少年院の言語回復プログラム
第七章 小学校はいかに子供を救うのか―国語力育成の最前線1
第八章 中学校はいかに子供を救うのか―国語力育成の最前線2
著者等紹介
石井光太[イシイコウタ]
1977年、東京都生まれ。ノンフィクション、小説、児童書などを幅広く手がける(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Shun
30
話題になった”「ごんぎつね」を読めない子供たち”というコラムが伝える国語力低下の懸念。最初はにわかに信じがたい状況に思えましたが次第に危機感を抱くようになった。小学生とはいえ、亡き母を鍋で煮ている光景ですと真面目に議論する子供たち。そこには読解力だけでなく想像力や感性といったものまで欠けている現状があった。その原因は家庭環境の他にも現代の複雑な社会、例えばSNSや学習指導要領に追加されたSDGsや多様性といった新しい概念まで様々だ。問題は根深く教育環境の改善が急がれる。一人でも多くの人に読んでほしい1冊。2025/07/23
がんもどき
8
今の日本の子供の言葉がいかに貧しくなっているかが描かれたルポ。個人的には家庭環境によるところが大きいんではないかと思う。本の終わりに豊かな国語教育をしているところはこんなにいい教育をしているんですよという感じに締めくくっているが、良いところがそう言う教育をしていても、国語力の底辺にいる子供をどうにかしなければあまり意味がないように思う。2025/07/29
てくてく
6
「ごんぎつね」の葬儀シーンが理解できない子どもたちから始まって、コミュニケーションを下支えする国語力、言語化およびその理解力の欠如に由来するトラブルや問題、明確な理由が本人すらわからない不登校、ゲーム依存とそれによる言葉への影響など、様々な問題を取り上げた上で、国語力育成の最前線を紹介することで、国語力回復のために何が必要かを示唆する一冊。日本女子大附属中高の文庫本一冊を一学期間かけて精読する取り組みが魅力的だった。2025/07/12
チューリップ
2
国語力の低下。ごんぎつねについては、読解力というより経験不足という気もした。ただ、単語や乱暴な言葉での会話ですれ違う等、共感できる話も多い。もう少し、読み進めたい。2025/07/26
さち
1
駄目な親の例を知ると、自分がいかに恵まれた環境だったのかと、親への感謝が改めて生まれてくる。説明しすぎな漫画を最近はよく見るけど、そこまで配慮しないと理解できない子がいるのが悲しい。子どもに必要な助けが届くように、国にはもっと頑張ってもらいたい。2025/07/15
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