内容説明
再開発の波に乗る町・新小岩。でも、商店街の路地裏には昔ながらの居酒屋・米屋があって、今夜も図書館司書やキャリアウーマン、教師など、悩める客が訪れます。今回はついに、「さくら整骨院はどこですか?」と飛び込んでくる客まで現れて…変わりゆく町を舞台に、変わらない人情と人生の機微を描く、居酒屋物語第7弾。
著者等紹介
山口恵以子[ヤマグチエイコ]
1958年、東京都生まれ。早稲田大学文学部卒業。会社員を経て派遣社員として働きながら松竹シナリオ研究所で学び、2時間ドラマのプロットを多数作成。その後、丸の内新聞事業協同組合の社員食堂に勤務するかたわら、小説の執筆に取り組む。2007年に『邪剣始末』で作家デビューを果たす。13年、『月下上海』で第20回松本清張賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しんごろ
129
米屋に何度も行ける人達は、どういう原理なんだろうね。そして、まさかの逆パターン。“さくら接骨院”、評判がいいのか。俺もさくら接骨院に行って、施術したいぞ。パターンが違うといえばもうひとつ。お礼を言って去っていくのが今までのパターンだけど、店で呑む人が現れた。気になってた“とり松”の店の雰囲気が、ちょっとだけわかった。秋穂さん、聞き流す能力は、もはや特技だね(笑)。 料理の腕も上がってるけど、シンプルに脂が乗って丸々太った秋刀魚を食べたくなった。次作は、どんなパターンが待ち受けてるのかな。楽しみだ。2025/06/12
タイ子
76
シリーズ第7弾。今作も居酒屋「米屋」の秋穂のうたたね夢から始まる5つのお話。毎度のことながら秋穂の夢が奇抜で面白い。図書館の本が全部トマトのカラー写真になったり、ノルマンディー上陸作戦の真っただ中にいたり、バレー教室の掃除をしながらつい踊り始めたり・・・。そして、「米屋」の不思議な時間軸が始まる。「白子の迷宮」がいつもと違っててちょっと新鮮。たまには30年前の米屋以外の店を訪ねて彷徨うのもいいかも。時代を超えて人を幸せに導く米屋は今回も健在でした。それにしても何度でも行ける人が羨ましい。2025/06/26
Ikutan
53
シリーズ第7弾。今回も、秋穂のとんちんかんな夢から始まり、最後に『とり松』で米屋の行方を探す客に、いつもの面々が、秋穂の思い出を話す安心のパターン。でも、最終話だけは、さくら整骨院の行方を探す客が、米屋に迷い込むというまさかの逆パターンで思わずにんまり。客の中には、リピーターも居て、どういうからくりなのかはちょっと不思議だな。今回も美味しそうなレンチン料理と人情ある秋穂と客人たちのやり取りを楽しんだ。2025/06/09
anne@灯れ松明の火
29
新着チェックで予約。シリーズ7。30年以上前に、店主秋穂は亡くなり、居酒屋もなくなったのに、迷える子羊のような人の前には現れる、ゆうれい居酒屋。山口さんのシリーズ物は、基本パターンがあり、飽きる人もいるだろうが、私は好き。今回は、意外な展開もあり、へ~と思った。秋穂が元教師という設定も、ちゃんと生かされていて、いいな。秋穂だけでなく、ご常連のお年寄りたちも、いいアドバイス。私も困った時には、現れてほしいな。巻末のレシピもいくつか( ..)φメモメモ2025/07/16
カール
17
いつものお決まりのパターンで進む本作だけど、毎回読んでしまうのはどんなお客さんが訪れるかという興味からかな。子どもが脅されていたことを助けた事が縁で結婚するなんて、秋穂さんは亡くなってもお世話好きなんですね。そして、今回は米屋を探しにくるのではなく、さくら整骨院を探しにくるという新しいパターンが新鮮でした。ここでもまた秋穂さんのひと言で人生が狂わずに済むんですが。さくら整骨院は筆者の亡くなったお兄さんがモデルとか。マンネリの中にとピリッと山椒を効かす本作。どこまで続くのか楽しみです。2025/07/21