内容説明
戦後を代表する稀代の名優、三國連太郎。幼少期の貧困、両親への愛憎半ばする想い、密航し大陸を放浪した十代、数々の女性遍歴、一切の妥協を許さないストイックな芝居の姿勢。虚実織り交ぜて語る姿から、その波瀾に満ちた生涯が魅力的にたちあがる評伝。三國が役者として嫉妬し愛した息子、佐藤浩市のインタビューも収録。
目次
第一章 波瀾を歩く
第二章 「愚劣なもの」の記憶
第三章 父のこと、母のこと
第四章 「五社協定違反第一号俳優」
第五章 芝居に生きる
第六章 鉄の意志
第七章 セックスほど滑稽なものはない
第八章 死の淵より
第九章 浩市
著者等紹介
宇都宮直子[ウツノミヤナオコ]
ノンフィクション作家。1991年『神様がくれた赤ん坊』で作家デビュー。綿密な取材と人物を深く掘り下げる手腕に定評があり、医療、教育、スポーツ、動物など幅広い分野で活動する。中でもフィギュアスケートの取材・執筆は20年以上にわたる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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あすなろ
89
出張帰りの書店の店頭面陳本よりジャケ買いした一冊。その後のフライトに丁度良いサイズの本でもあった。三國連太郎氏自身に興味あったし、僕がよく読んでいた自動車雑誌やファッション誌にも氏は良く出ておられた。出演作については氏が例外とされる釣りバカシリーズ以外、氏の出演作をほぼ観ていない僕である。僕は、僕以外の人間に時間をもぎ取られるのは我慢ならないとの騙りから始まる本書。氏の生い立ちから死の間際迄初めて知った事が多かったが、存在感が大好きな氏の息子である佐藤浩市氏の騙りも併せて読み耽ったのである。2025/04/29
たれっくま
2
ページ数は、俳優・三國連太郎の晩年をほんの少し垣間見させてもらった、くらいのボリュームだったのだけど、中身は濃厚。演じる事に全振りしたからこその名優だったのだと納得した。いちファンとしては彼の素顔を少しだけでも知れて嬉しかったが、近親者にとってはかなり厄介な人でもあったんだろうなぁ。御子息の佐藤浩市氏のインタビューがあったのも良かった。2025/04/15