内容説明
狙った女子をオトすため男たちが満を持して訪れる高級鮨屋に、突如として現れたスウェット姿の母親と赤ん坊。なりふり構わず好みの注文を重ねる母親に辟易する男性客の傍らで、女性客たちは豪胆な彼女に見惚れていき…。(「エルゴと不倫鮨」)しなやかな筆致とユーモアが冴えわたる、鮮やかな7つの物語。
著者等紹介
柚木麻子[ユズキアサコ]
1981年、東京都生まれ。立教大学文学部フランス文学科卒。2008年、女子校でのいじめを描いた「フォーゲットミー、ノットブルー」で第88回オール讀物新人賞を受賞。受賞作を含めた単行本『終点のあの子』でデビューし、繊細な心理描写で注目される。これまで六度、直木賞候補に。『ナイルパーチの女子会』で2015年に第28回山本周五郎賞、翌年、第3回高校生直木賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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mayu
30
柚木さんの7編の短編集。やー!!面白かったです。もう最初の「ComeComeKan!!」から心捕まれました。覚子の誰かに怒られているような感じわかりすぎる!菊池寛の事が気になりすぎて検索しちゃったよ。どの話しのどこを切り取っても女性が主役の女性の為の物語が詰まっていて、自然と励まされる。逆に中年男性は目を逸らしたくなるかも(笑)それぞれに爽快感があって冷静に考えると変な設定なのに、スッと馴染んでいく。「エルゴと不倫鮨」は既読だったけど、再読しても痛快で面白い。そして最後に待っている菊池寛の解説も最高です。2025/01/09
エドワード
29
新人作家・原嶋覚子が文藝春秋ビルにある菊池寛像と会話する!なんと素敵なホラ話。作家の毛利は、一世を風靡した恋愛小説「永遠の楽園」の舞台のホテルを訪れる。子連れ客であふれるホテルに驚愕!諸行は無常なり。女子学生の論文「少女小説とは、貧しい少女が富裕層と出会い、サポートを受ける物語」というテーマに唸らされる。スピーディーに展開する7つの物語。ついでにジェントルマンという題名はどこから来るの?解説が菊池寛というのに爆笑!これが上手い!柚木麻子さんは解説を書くために菊池寛の本を2冊読破、恐るべき凝り様に脱帽。2025/02/24
のいじぃ
21
読了。表紙に惹かれて購入。読み進めていくうちにモヤモヤしたものが蓄積されていく短編集でした。昨今の女性の、女性への価値観を乱暴に主張しているのでげんなりします。菊池寛の威を借り、主人公たちは家族や友人の鎧を纏い、時としてその人たちすら踏み台にし、主人公(時に作者)にだけ都合のよい展開しかありません。これは女性への応援でも何でもない、在り方でもない。取り扱う内容により解説まで菊池寛のなりきりで終わらせるのも流石に厚かましく思えました。性別を入れ替えただけの言動や気持ちをおざなりにした物語は苦々しいだけです。2025/03/28
林檎
18
7つのお話からなる短編集。どの話も女性の不都合さや在り方について違ったテイストで爽快に書かれている。女性ならうんうんと頷ける内容が多いけど、男性が読んだらどう感じるのかも気になるところ。『エルゴと不倫鮨』と『アパート一階はカフェー』が好き。菊池寛に興味が湧く。2025/02/04
クキモン
17
フェミニズムを題材にした短編集。菊池寛をあんなにいじって大丈夫なのだろうか。まぁ好感度は高いけれど。菊池寛以外の男性は、ジェントルマンとは思えないキャラばかりでした。2025/04/30