出版社内容情報
「飢えの雲、天を覆い、地は枯れ果て、人の口に入るものなし」
恐れていた災いが凄まじい速さで広がる中、アイシャたちは必死に事態の収束を図るが、巨大な国家は、容易に方向転換が出来ない。民に危機が迫る中、孤独を抱えながら生きて来た<香君>が選んだ道とは。比類なき圧巻の物語が、いよいよ完結。 解説・長田育恵
内容説明
「飢えの雲、天を覆い、地は枯れ果て、人の口に入るものなし」恐れていた災いが凄まじい速さで広がる中、アイシャたちは必死に事態の収束を図るが、巨大な国家は、容易に方向転換が出来ない。民に危機が迫る中、孤独を抱えながら生きて来た“香君”が選んだ道とは。比類なき圧巻の物語が、いよいよ完結。
著者等紹介
上橋菜穂子[ウエハシナホコ]
1962年東京生まれ。文学博士。川村学園女子大学特任教授。89年『精霊の木』で作家デビュー。著書に『精力の守り人』をはじめとする「守り人」シリーズ、『獣の奏者』『鹿の王』など。野間児童文芸賞、本屋大賞、日本医療小説大賞など数多くの賞に輝き、2014年には国際アンデルセン賞作家賞を受賞。20年、マイケル・L・プリンツ賞オナー、日本文化人類学会賞、23年、吉川英治文庫賞、24年、菊池寛賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ふう
70
作者が意図したことではないのでしょうが、物語としての壮大さと美しさのところどころに、現実の社会にも通じる問題や考え方が重なり、共感する部分がたくさんありました。植物や土の力、虫の特性について農民に教える訳についてアイシャが語ったこと。「みんなが自分で判断できるように。自分の行動が何に繋がり、どんな結果をもたらすのか、想像できるように。」とても大切なことです。参考文献に『樹木たちの知られざる生活』があげられていて、あゝやっぱりと納得。地上に現れた物語の下には、たくさんの学びと思いがかくされています。2025/01/09
あきぽん
54
剣や弓矢や槍は登場しない、魔法は嗅覚のみ…という異色のファンタジーですが、ちゃんとクライマックスと大円団を迎えました。古代では農業を制するものが制したのは真実でしたよね。また文章から香りが立ち上ってきた…これからの香君の幸福を祈るばかりです。2025/01/03
みやび
38
あとがきを読んで「植物同士も互いに人間には分からない形で活発にコミュニケーションを取り合っている」という話が以前テレビでやっていたのを思い出した。オアレ稲や救いの稲に感じていた不穏な不気味さがそれによって払拭され、害虫に分類される虫も含めて、ある種の哀れみというか切なさみたいなものに変わった。結末としては、かなり端折られていて強引に纏めた感があり、思ったよりあっさりと終わったけれど、それでも青香草の香りのような清々しい気持ちになれたのは良かった。皆が幸せに暮らせる未来であって欲しい。2024/12/25
毎日が日曜日
29
★★★★★ 完結。2025/01/01
鐵太郎
22
第四巻の表紙は冬。冬なのに何か実をつける木々とそれをついばむ小鳥。災厄はあちこちの藩王国で燃え上がり、このままでは壊滅は不可避。そこでマシュウらは事を政治の場に持ち込み、皇帝自身に強行させる方向に持って行こうという強攻策を進めます。むろん相手は帝国本土の大貴族たちと皇室近辺の官僚たち。さてこの結果がどうなったのか。香君オリエとアイシャはどうなるのか。なるほど、風呂敷をここまで広げ、こうまとめたか。さすが上橋さん、お見事です。2025/02/04
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