出版社内容情報
●ミステリランキングを席巻! 火村シリーズ傑作長編
大阪のマンションの一室で、元ホストの死体が
スーツケースに押し込められた状態で発見された。
凶器や被疑者はすぐに見つかり、
難なく解決するかに思われた事件は、
鉄壁のアリバイと捜査を攪乱する
“ジョーカー”によって不可能犯罪と化す。
火村とアリスの辿りついた真相が心震わす、
シリーズ新境地の傑作長篇。
解説・佐々木敦
内容説明
大阪のマンションの一室で、元ホストの死体がスーツケースに押し込められた状態で発見された。凶器や被疑者はすぐに見つかり、難なく解決するかに思われた事件は、鉄壁のアリバイと捜査を撹乱する“ジョーカー”によって不可能犯罪と化す。火村とアリスの辿りついた真相が心震わす、シリーズ新境地の傑作長篇。
著者等紹介
有栖川有栖[アリスガワアリス]
1959年大阪府生まれ。同志社大学法学部卒業。89年『月光ゲーム』でデビュー。2003年『マレー鉄道の謎』で第56回日本推理作家協会賞“長編及び連作短編集部門”、08年『女王国の城』で第8回本格ミステリ大賞、18年「火村英生」シリーズで第3回吉川英治文庫賞を受賞。22年に第26回日本ミステリー文学大賞を受賞。本格ミステリ作家クラブ初代会長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
糸巻
26
文庫化。細部をほぼ忘れていたので読みながら思い出し割と新鮮さを覚えたのは良かった。2020年まさにコロナ禍の渦中にある火村とアリスの元に大阪府警の船曳警部から捜査協力の依頼が。今作では思いもよらぬジョーカーの存在とその背景に驚かされたが、そういう部分を深く描かれるのも長編ならではだと思うし味わって読むことができた。『ジョーカーだけが知っている』のタイトルにならずに良かった!鮫やんナンセンス。カチッとハマらない断片に火村も私も苛つくが、舞台を変えてからの展開の速さにスッキリ。でも読み応えもあった。2024/12/11
マッちゃま
14
読み終えて感じたのは「まさに有栖川有栖が描くミステリ」なのです。元ホストが自宅で殺されてからスーツケースに詰められた状態で発見される。痴情の縺れか?怨恨か?捜査線上に浮かぶ複数の容疑者にはアリバイがある…少しずつしか進まない捜査と事件の地味さ(なにせマニアなモンで)を感じてましたが、あるピース?から読むペースが上がってきて、そこから怒涛の一気読みでした。ソコから解けて行くのか~い!な、まさに青天の霹靂とシリーズ物ゆえのお楽しみが味わえました。記載されてますが あとがき と解説は読了後に楽しんで下さいませ♪2025/07/23
Yuri
12
久しぶりに火村シリーズ!長編~!なかなか解決に結びつかないもだもだした感じもご一興かと。瀬戸内への旅路も楽しめてお得感。コマチさんの出自にも迫る展開。2025/02/09
huraki
12
とあるマンションの一室で、スーツケースに入った死体が発見される。火村とアリスは警察の捜査に加わり、調査を開始する。容疑者たちの鉄壁のアリバイが崩せず、難航する事件。コロナ禍の中で、二人が旅先で見た景色は昔と変わらず今もなお美しく、色褪せることのない想い出が事件と鮮やかに結びつく。やがて浮かんできた真相に、感情を揺さぶられた。2024/12/14
hiro 17
9
マンションで男が殺されたが、数人の容疑者はアリバイ、動機ともに決め手に欠ける。一見地味な事件だが決定的なパズルのピースが足りないかのように捜査は進展しない。そんな一件にいつもの二人が挑む。 今回、コロナ禍の大阪が舞台で現実とのリンク感が強く感じられた。昔はミステリに鬼門と思っていたスマホも、いまやその機能も前提の上で描かれている。表題の「捜査線上の夕映え」が暗示するように、高度なトリックや謎ではなく情緒的な側面にフォーカスしていて、これまでの有栖川作品とはまた少しばかり違う味を楽しめた。2025/03/19