出版社内容情報
FIREの先は薔薇色なのか
外資系食料品メーカーの事務職として働く元地下アイドルの華美は、
生活費を切り詰め株に投資することで、
給与収入と同じ配当を生む分身(システム)の構築を目論んでいる。
恋人の直幸は「使わないお金は死んでいる」と華美を笑うが、
とある人物率いるオンラインコミュニティ活動にのめり込んでゆく。
そのアップデートされた物々交換の世界は、
マネーゲームに明け暮れる現代の金融システムを乗り越えゆくのだ、と。
やがて会員たちと集団生活を始めた直幸を取り戻すべく、
華美は《分身》の力を使おうとするのだが……。
高度に発達した資本主義、その欠陥を衝くように生まれる新たな幻影。
自らの価値観と生き方を問われる、いま読まれるべき傑作小説!
内容説明
外資系メーカー事務職として働く華美は、生活費を切り詰め株に投資することで、自分の給与収入と同じ配当を生む“分身”の完成を目指す。恋人の直幸は「使わないお金は死んでいる」と華美を笑い、オンラインコミュニティ活動にのめり込む―人生の時間は限られている。自分はお金とどう付き合うのか?現代人の葛藤を描いた傑作。
著者等紹介
羽田圭介[ハダケイスケ]
1985年東京都生まれ。明治大学商学部卒業。2003年「黒冷水」で第40回文藝賞受賞。15年「スクラップ・アンド・ビルド」で第153回芥川賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mae.dat
267
FIREを“真面目”に茶化しているのやろか。特に無料の投資セミナーに行くエピソードでしょう。ここは本書のハイライトの一つなので詳述はさけますか。まぁ揶揄るよね。その他にも要所要所で同様に。主人公の華美さんは、ある種ストイックに資産運用を行っていてね。悪行では無いけれども、色んなものを切り捨てる、又は切り捨てられる事に。逆に恋人の直幸くんは、そんな華美さんのことを腐すけど、シンライが通貨代わりのムラに傾向しちゃってね。もう極端過ぎる。そして答えは無い。マネープランはそれぞれで考えないとダメなのね。2025/02/27
かぷち
70
最初の15ページぐらいで挫折しそうに。投資には本当に疎くて、利回り計算を繰り返す華美が意味不明だったし浅ましく感じてしまった。一方、恋人の直幸もまた極端な人物造形で癖が強いのだが、どちらも味のしない煎餅の表面に無理やり醤油を塗りたくったかのような奥行きの無さ、あまり生命感が無かった。羽田さんの小説にはストイックな人物がよく出てきて不思議と共感できる部分があったんだけど。私の生き方とかけ離れているので興味を持てなかったんだと思う。小難しい事なんか考えずにお金を使ってきたので、不向きなテーマだったのかも。2024/10/21
ロア
12
意外な展開。こういう「界隈」って時々見かけますよね(*´ω`*)思いのほか、株の話が興味深く面白かったです!投資家ってこんなことやってるのか~。なかなかキツイですね。2024/11/27
はと麦茶
9
初読み作家さん。この薄さのわりに色々詰め込まれていたな。どこかで聞いたような話が次から次へとポンポン出てくる。華美が直幸のためにそこまでするのかと驚いた。2025/01/08
ツバサ
9
お金を貯める人、お金を使う人、どちらが幸せか問いかけてくる作品。双方大事だけど、良いお金の使い方が出来れば良いよね。考えは自由だけど自分の中に留めておかないと損するよ。見て見ぬふりが出来ないテーマで読み応えがありました。2024/09/07