内容説明
鎖国時代の平戸。孤独な少年・福松を迎えに来た母は、台湾を根城にする大海賊の頭だった―明に渡った福松はやがて鄭成功となり、清と闘う道を選ぶ。日本と中国の血を持つ男が台湾の民族的英雄に、後に「国性爺合戦」主人公として江戸の人々を熱狂させる。生きる場所を求め闘う魂を描く大スペクタクル長編!
著者等紹介
川越宗一[カワゴエソウイチ]
1978年鹿児島県生まれ、大阪府出身。龍谷大学文学部史学科中退。2018年『天地に燦たり』で第25回松本清張賞を受賞しデビュー。『熱源』で第9回本屋が選ぶ時代小説大賞・第162回直木賞、『パシヨン』で第18回中央公論文芸賞を受賞する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Y.yamabuki
17
中国人を父に、日本人を母に持ち、後に「国性爺合戦」の主人公となる鄭成功を、幼少期から描いたスケールの大きな物語。詳しくないので、どこまでが史実なのか分からないが、彼のストーリーもしっかり描かれていて面白い。どうしてそこまでして、戦うのか?母とのこと、弟、幼馴染みとの関わりが、時には切ない。2025/02/20
coldsurgeon
9
江戸時代初期、日本に生まれ、明の時代に南京、福健で活躍した鄭成功が、いかに生きたか、いかに生きざるを得なかったかを描く。主人公の想いは、家族や周りの仲間に支えられ、時として裏切られ、達することが出来なかったことが多かったが、後の世に何かを残した。いかなる経緯で浄瑠璃「国姓爺合戦」が、その後の日本で生み出されたのか。人は本来まとまるものではないもの、離合集散を繰り返し、生きていく。2024/06/30
Nobuko
6
国姓爺合戦につながるんですね 海賊のお話で終わるわけじゃなかった 2024/06/27
てぃと
4
清やオランダに抗った中華の英雄として、そして浄瑠璃の国姓爺合戦の主人公として有名な鄭成功。日本名「田川福松」、日本人の母を持ち日本で生まれ、海賊の家系ながら国姓爺と呼ばれた彼の生涯と生き様を見事に描いた作品でした。以前読んだ小説「琉球の風」にも彼は登場していて、今回本書を読んで当時の東アジアのダイナミックな歴史の流れの中心いた人物であることを改めて認識。海賊として生きた母や、二人の幼馴染との絆が物語に深みを添えていましたね。お勧め本です。2024/08/08
shonborism
2
鄭成功をモデルにした大河小説。史実として母親が日本人だったのは知らなかったな。果たして福松がやろうとしていたことは正しかったんだろうか。2025/03/08