内容説明
小林秀雄、青山二郎ら当代一流の文化人との交流の中で己を磨いた白洲正子。幼少期から習っていた能についての著作で世に出て以降、骨董、仏像、神社仏閣など日本の伝統を世に伝える傑作随筆を多くものした。その著作は、自信喪失に陥った戦後の日本人を静かに励まし続け今日に至る。入門編にして決定版の一冊。
目次
第1章 知人・友人(一つの存在;ある日の梅原さん ほか)
第2章 日常なるもの(銀座に生き銀座に死す;冬のおとずれ ほか)
第3章 お能(お能の見かた;能面の表情 ほか)
第4章 古びぬものたち(信玄のひょうたん;明恵上人のこと ほか)
著者等紹介
白洲正子[シラスマサコ]
1910(明治43)年、東京生まれ。祖父は海軍大臣、台湾総督などを務めた樺山資紀伯爵。幼少時から能を習う。学習院女子部初等科修了後、14歳でアメリカに留学、18歳で帰国、19歳で白洲次郎と結婚、二男一女を産む。43年『お能』刊行。64年『能面』で読売文学賞(研究・翻訳部門)受賞。98年12月26日逝去
小池真理子[コイケマリコ]
1952(昭和27)年、東京生まれ。成蹊大学文学部卒業。89年、「妻の女友達」で日本推理作家協会賞(短編部門)受賞。96年『恋』で第114回直木賞、98年『欲望』で島清恋愛文学賞、2006年『虹の彼方』で柴田錬三郎賞、12年『無花果の森』で芸術選奨文部科学大臣賞、13年『沈黙のひと』で吉川英治文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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さばずし2487398
24
大局的に捉えながらも、女性らしい直感と観察力、落ち着きあるしんみりとした気品ある言葉、堂々とした知性。能、西行、兼行への、その様な距離感が読んでいて心地が良かった。と言っても小池真理子氏のプロローグにあるように私もこの作家を全部掴み切るなんて畏れ多くて言えないだろう。「現実主義に徹したあまり、この世が夢幻である事を忘れてしまった」というフレーズが心に残る。前半に出てきた「むーちゃん」、どんなに魅力的な女性なのか。会ってみたい。2024/06/02
鯖
17
白洲正子のエッセイは十一面観音とかお寺の巡礼とかは読んだことある。老妻を亡くした画家梅原龍三郎についての文が良かった。「華麗な赤が、しっとりとしたあかね色におさえられ、全体が紫の雲のような感じにほのぼのと匂っている」通夜の後に一気呵成に書かれた三十号の涅槃画のような大作。今週の大河のべらぼう思い出しちゃった。歌ちゃんにおきよさんの九相図ではなく、長く連れ添った後の諦めと哀しみと妙な安堵が入り混じったような絵をゆったりと描かせてあげたかった。2025/10/07
キー
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小林秀雄、青山二郎ら当代一流の文化人との交流の中で己を磨いた白洲正子。幼少期から習っていた能についての著作で世に出て以降、骨董、仏像、神社仏閣など日本の伝統を世に伝える傑作随筆を多くものした。その著作は、自信喪失に陥った戦後の日本人を静かに励まし続け今日に至る。入門編にして決定版の一冊。2024/07/21