内容説明
平穏な町で起きた、11歳の少年の惨殺事件。ラルフたち地元警察は、複数の目撃証言を得て、高校の教師で少年野球のコーチとしても慕われるテリーを逮捕した。しかし、彼には完璧なアリバイがあることが判明する。自身の潔白を主張するテリー。一方で、異常犯罪への憎悪を募らせる遺族と住民たち。そして、町を新たな悲劇が襲う。
著者等紹介
キング,スティーヴン[キング,スティーヴン] [King,Stephen]
1947年、アメリカ、メイン州生まれ。高校教師を経て、1974年『キャリー』で作家デビュー。代表作に『シャイニング』『ザ・スタンド』『IT』『11/22/63』などがある。初のミステリー作品である『ミスター・メルセデス』でエドガー賞最優秀長編賞を受賞
白石朗[シライシロウ]
1959年、東京生まれ。英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ケンイチミズバ
83
アメリカでは普通なのだろうか。刑事が仕事の詳細やミスまでも家でパートナーに打ち明ける。悩む夫を励まし夫に行動を促す妻。拙速な判断ミスの代償は大きく、このまま失職するかも知れないが、それよりも最大の焦点は真犯人が野放しかも知れないこと。キングのお約束、善良な家族は次男を失う。あまりに酷い方法で、母はショック死、父は自殺未遂、しかも腰に爆弾を抱えた隣家の老婆が亡き夫以外と唇を交わしたこともないのに、がんばって人口呼吸による蘇生を試みた結果、父親は植物状態で生き続けることに。このシーンはブラックジョークとしか。2024/03/04
眠る山猫屋
57
残虐過ぎる事件、万全の証拠を固められて、公衆の面前で逮捕されたテリー・メイトランド。追い詰められていく家族。だがテリーには無罪の証拠があった。上巻では、冤罪の怖さが響いてくる。手のひらを返した様に疎遠になる隣人、石を投げる大衆。逮捕した警官たちだって、義憤に駆られての行為。無罪の立証すら受け入れようとしない人々の“正義”という名に則った暴力。人間は信じたいものを信じ、信じられない出来事は拒絶する。そして、その陰で蠢く“なにか”がいる・・・。 《日本の夏は、やっぱり怪談 其の二 洋編》参加作品2024/08/04
naoっぴ
54
中盤までは理不尽な証拠が次々とあがり、読みながら胸やけが。同じ日時に全く違う場所で、見た目どころかDNAまで同じ人間が行動することはあり得る?片方は文化的な場所で、片方は残虐極まりない殺人をして。どちらが本当のテリーなのか。事件関係者は死んだり苦しんだりでさすがに嫌になるけど、ページをめくる手が止まらない。非現実な事実こそが真実?陳腐になりそうなのに全然そうならない絶妙なストーリー運びにわくわくする。しかもいいところで上巻終了。すぐに下巻へ。2024/04/30
ゆきねこ
26
このキング、好き。ホラーの要素がプンプン。始めはサスペンスと思いきや、悲惨な頃され方をした少年を殺した罪で捕まったのはまさかのコーチ。猟奇殺人からまさかのドッペルゲンガー。主人公だと思われた彼は簡単に死んでしまう。大衆の中にいた、やけどを負った人物がここまで引っ張るなんて。目が藁で出来た粘土人形が出てきて、刑事に「お前は黙っていろ」と伝える。ブギーマンの件は背筋が凍る。メルセデス三部作の彼(故人)と彼女が出てきて嬉しい。キングまたも傑作を書いて、本当に70歳過ぎているのか。永遠の命をもっていてほしい。2025/05/06
ひさか
20
2021年3月文藝春秋刊。2024年1月文春文庫化。うーん。長い!。下巻へ。2024/02/14