内容説明
右近に押し切られ、塚田屋で呉服の色見立てを始めたお彩。塚田屋の主人の無理難題に辰巳芸者の蔦吉の助けを借りようとするが…。一方、近所の油店・香乃屋のお伊勢には対照的な二人の婿候補が登場。濃紺の小袖も粋な弥助と、野暮だとされる浅葱色が好きな文次郎。はたしてお伊勢の選択は?大好評の文庫オリジナルシリーズ第三弾!
著者等紹介
坂井希久子[サカイキクコ]
1977年、和歌山県生まれ。同志社女子大学学芸学部日本語日本文学科卒業。2008年「虫のいどころ」で第88回オール讀物新人賞を受賞しデビュー。17年『ほかほか蕗ご飯 居酒屋ぜんや』で第1回〓田郁賞、第6回歴史時代作家クラブ賞新人賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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しんごろ
216
どの時代にも流行色はあるけれど、江戸には野暮だとされる色があったのね。色には罪はないけれど、これも世の流れというやつか。さて、物語はというと、“湊鼠”を“深川鼠”と名を変えて流行らせ売ることを余儀なくされたお彩。右近と共に奮闘。その後も、いろいろな問題がありまして、お彩と右近のコンビで、これまた奮闘。右近、飄々として相変わらず食えない奴。狸だなあ。一方で香の屋のお伊勢は恋の予感。いや、もうそれはもう愛か。お彩、仕事を通して人として成長してほしい。お彩が現代にいれば、自分の服をコーディネートしてほしい。2023/11/22
タイ子
120
読むたびに塚田屋の苅安がうっとおしくなる。何だか自分から嫌われ者になってるみたいで、というより人間性の問題なのか。下駄屋の文次郎と古着屋の弥助の話が面白い。「空に、地に、木に、花にこの世にあふれる色は全て尊い」色の好き嫌いは人によって違うのは当たり前。そんな当たり前の事を改めて感じながらの色見立てのお彩の物語。だんだん、右近の良さも分かりかけてきたシリーズ第3弾。2023/10/22
のぶ
105
シリーズの三作目。今回は深川鼠を流行らせようと奮闘するお彩と右近の話が中心となる。お彩の才能に目をつけた右近によって、半ば強引に色見立ての仕事を始めさせられることになってしまう。坂井さんの描く女性は、気風がよくて、ちょっと不器用だけど、一本気で、読後感がとてもいい。本に出てくる色彩の名前が今では使われていない美しいものばかりで、日本人の色彩感覚の鋭さや、芸能・文化・自然に裏打ちされた豊かさにうっとりする。実際の色がどんなものなのか、色見本で見てみたくて活字だけではもどかしく感じた。 2023/09/16
やも
94
読み心地はライトながらも、雅な日本と仕事への矜持を感じることが出来るこのシリーズが好きだ。前巻はゲーム感がある終わりだったけど、今回は人情を押し出してきたような。こっちの方が好きかも😄流行りの色や野暮な色があっても、どの色をどう思うかは自分次第なんだよね✨あと、最終話の弥助には、ざまぁ!!しかないよね😤毎回思うけど、色見本あったらいいのになー。あと、お彩に私に似合う色や服を見立てて欲しい。ブルベ冬、骨格ストレートです!2023/09/20
ツン
91
「粋な色 野暮な色」の章の最後の言葉「〜綺麗な色だと思うんですけどね」がよかったです。他の人の意見じゃなく、自分が感じることに誠実。最後にそれが自分に返ってくるのもよかったです。2023/09/09