出版社内容情報
『かがみの孤城』『傲慢と善良』の著者が描く、
瑞々しい子どもたちの日々。そして、痛みと成長。
かつて、カルトだと批判を浴びた<ミライの学校>の敷地跡から、
少女の白骨遺体が見つかった。
ニュースを知った弁護士の法子は、無騒ぎを覚える。
埋められていたのは、ミカちゃんではないかーー。
小学生時代に参加した<ミライの学校>の夏合宿で出会ったふたり。
法子が最後に参加した夏、ミカは合宿に姿を見せなかった。
30年前の記憶の扉が開くとき、幼い日の友情と罪があふれ出す。
解説・桜庭一樹
内容説明
カルト団体“ミライの学校”の敷地跡から、白骨遺体が見つかった。ニュースを知った弁護士の法子は胸騒ぎを覚える。埋められていた少女はミカではないか―。小学生時代に参加した夏合宿で出会ったふたり。最後の年、ミカは合宿に姿を見せなかった。30年前の記憶の扉が開くとき、幼い日の友情と罪があふれ出す。
著者等紹介
辻村深月[ツジムラミズキ]
1980年山梨県生まれ。2004年『冷たい校舎の時は止まる』で第31回メフィスト賞を受賞しデビュー。11年『ツナグ』で第32回吉川英治文学新人賞、12年『鍵のない夢を見る』で第147回直木三十五賞、18年『かがみの孤城』で第15回本屋大賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
イアン
213
★★★★★☆☆☆☆☆30年を隔てた友情を描いた辻村深月の長編。独自の理念を持つ教育施設〝ミライの学校〟の敷地から少女の白骨死体が発見される。弁護士の法子はそれがかつて心を通わせた少女ではないかと疑い…。なぜ少女は死に至り、30年間も葬り去られたのか。ページ数の割に展開に乏しく冗長な感は否めないが、思春期特有の痛切な心理描写はまさに辻村ワールド。「カルト」という言葉が連想させる猟奇性よりもっと根源的な何かを問いかける。琥珀の中に閉じ込めたのは子供たちの過去か、未来か。教育とは、親子の絆とは何かを問う問題作。2023/12/02
ピース
129
ノリコは小学生の時の夏休みにクラスメイトから誘われ「ミライの学校」なるところに行く。そこで違和感のようなものを感じながらもミカとの出会いもあって楽しく過ごす。ところがその後ミライの学校で水の問題が起き更には跡地から子供の白骨死体が見つかる。誰の遺体なのか、なぜこのようなことになったのか?最後の結論は満点ではないが、とりあえずこれでよかったのかな?それは今後の生き方次第ということだろうか。2023/12/06
となりのトウシロウ
125
「ミライの学校」の当時の敷地内から子どもの白骨死体が見つかる。弁護士の法子は小学生の時に夏合宿でミライの学校に参加していた。その時に知り合ったミカではないかと胸が騒ぐ。ミライの学校の理念は共感するものがある一方で大人が導きたい結論・考え方に誘導できる怖さを感じる。ミステリー的な要素があるがこの作品テーマは親子のつながりである。子どもの頃親と離れて寂しかった美夏がなぜ大人になって子どもと離れているのか。子どもを預ける保育園を探し回る法子の姿はそれとはどう違うのか。作者の本作に込めた思いを聞いてみたい。2023/11/18
fwhd8325
91
カルト宗教が舞台なのに、描かれている世界が特異なものとは感じられず、どこにでもあるような世界のように感じました。もちろん、そこには異常な世界があることをわかります。だけど、日常の普通の世界にも異常さはたくさん感じることができます。友情という空虚な言葉が重くのしかかるように感じます。2024/09/15
セシルの夕陽
84
カルト団体〈ミライの学校〉…裏表紙の文字を目にしただけで、嫌悪感で怖くなる。正しいと信じる教義がある強さと、一般社会の乖離の話?と想像していたのだが、そんな単純なものではなかった。かつて団体施設があった土地から、少女の白骨遺体が見つかった。主人公の法子は、小学生時代に団体が主催する、夏合宿に参加した経験があった。遺体はそこで友達になったミカちゃんではないか⁈ 法子と一緒に胸がザワついた。子どもでも大人でも、自分の居場所とアイデンティティを求めてやまない。子どもの愛されたい願望が切なかった。新文庫化作品。2023/09/15