出版社内容情報
日韓併合下の釜山沖の小さな島、影島。下宿屋の娘、キム・ソンジャは、粋な仲買人のハンスと出会い、恋に落ちて身籠るが、実はハンスには妻子がいた。妊娠を恥じる彼女に牧師のイサクが手を差し伸べる。二人はイサクの兄が住む大阪の鶴橋へ。しかし過酷な日々が待ち受けていた――。全世界で共感を呼んだ大作、ついに文庫化!
内容説明
日韓併合下の釜山沖の小さな島、影島。下宿屋の娘、キム・ソンジャは、粋な仲買人のハンスと出会い、恋に落ちて身籠るが、実はハンスには妻子がいた。妊娠を恥じる彼女に牧師のイサクが手を差し伸べ、二人はイサクの兄が住む大阪の鶴橋へ。しかし過酷な日々が待ち受けていた―。全世界で共感を呼んだ大作、ついに文庫化!
著者等紹介
ミン・ジン・リー[ミンジンリー]
韓国、ソウル生まれ。1976年に家族とともにニューヨークに移住。イエール大学、ジョージタウン大学ロースクールを経て、弁護士となる。2007年のデビュー作Free Food for Millionairesはイギリスのタイムズ紙で同年のベスト10に選ばれた他、各紙誌で高い評価を受ける。本書は第二作で、ニューヨーク・タイムズ、ガーディアン、エスクァイアなどの絶賛を受け、全米図書賞の最終候補作となる
池田真紀子[イケダマキコ]
1966年、東京都生まれ。上智大学法学部卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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あすなろ
100
ずっと気になって読みたかった作品。父さんよりお前はずっと勇敢だ。自分を人間として認めようとしない人々に囲まれて毎日を過ごすには並外れた勇気がいるから。息子にそう告げる父親は死んでしまう。朝鮮から戦時中の日本へ。そして、その日本の戦後すぐという情勢と暮らしの中、在日コリアン一世を描く。この後下巻でこの一家がどうなるのか。2024/05/21
おたま
54
1911年、韓国の釜山近くにある影島(ヨンド)から物語は始まる。キム・フニとヤンジンが結婚し、子どものソンジャが生まれる。物語のテンポは非常に速い。ソンジャの成長と、コ・ハンスとの出会い、そしてソンジャは身ごもる。しかし、ハンスには大阪に妻と子どもがいることが分かる。さらにそこにパク・イサクと名のる牧師が現れ、ソンジャが妊娠していることを承知の上で結婚することを求める。そして、イサクとソンジャは、イサクの兄のヨセプが住む大阪を目指す。この辺りまでが1930年代の話。2024/02/24
ヨーイチ
48
久々の新しい翻訳小説。まあ正攻法の大河小説。例によってコメントは下巻終了時に。朝鮮側からの日本描写は新鮮で勉強になった。読み易いのも丸。上巻終了時で小生の産まれる三年前。面白いのでサクサク行ける。お勧め。2023/07/15
Shun
42
日韓併合時代の朝鮮半島、貧困が世を覆う中、下宿屋のキム一家は逞しく生活していた。ある日娘のソンジャは市場で出会ったやり手の仲買人ハンスと恋に落ち身籠るが、彼には日本で暮らす妻と娘がいると告げられる。この状況は世間体としてソンジャに暗澹たる未来を予見させるが、丁度下宿屋の世話になっていた牧師イサクによる献身のおかげで氏を得る機会を得て、そして彼女は彼と共に大阪へと渡るのだった。朝鮮半島から大阪、そして横浜へと激動の時代の波に流されるように移動するコリアン一家の波乱を描く大河小説。戦争を乗り越え、下巻へ続く。2023/07/23
だいだい(橙)
30
最初は面白かったが、途中からちょっとがっかり。主人公はソンジャなのか、ノアなのか。いずれにしても人物に深みがなく、魅力がない。戦前戦中の日本での苦労話があるのだろうと思ったら疎開先でソンジャは母にも再会でき、経済的にも大きな苦労はない。アメリカでは評価の高い作品のようだが、小説としては視点がぶれすぎて整ってないのではないか?アメリカ人にとってみれば戦時中の日本の話は初耳かもしれないが、私たちにとっては耳にタコができる話だし。唯一イサクの兄ヨセプが全体をかき回すキーマン的な感じはする。下巻へ。2024/07/24