内容説明
昭和29年、大阪城付近で政治家秘書が頭に麻袋を被せられた刺殺体となって見つかった。初めての殺人事件捜査に意気込む大阪市警視庁の新城は、帝大卒のエリート守屋と組むことに。全てが正反対の二人は衝突を繰り返しながら、戦後大阪に広がる巨大な闇に迫る。大藪賞・推協賞W受賞、圧巻の本格警察ミステリ。
著者等紹介
坂上泉[サカガミイズミ]
1990年兵庫県生まれ。東京大学文学部日本史学研究室で近代史を専攻。2019年「明治大阪へぼ侍 西南戦役遊撃壮兵実記」で第26回松本清張賞を受賞。20年同作を改題したデビュー作『へぼ侍』で第9回日本歴史時代作家協会賞新人賞を受賞。同年『インビジブル』で第164回直木賞候補となり、21年第23回大藪春彦賞と第74回日本推理作家協会賞(長編および連作短編集部門)を受賞する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ちゃとら
42
【友本】友達からのお勧めで初めての作家さん。「ここはお国の何百里、離れて遠い満州の〜🎵」頭の部分だけ聞いた事があった軍歌。満州を歌っていたとは知らなかった。昭和29年の大阪で麻袋を被せられた死体が発見された。初めての殺人事件に臨む新城は帝大卒の守屋と組まされる。見え隠れする満州⁈徐々に見えてくる怨恨。スケールの大きさも、骨太の読み応えのある作品だった。新城と守屋の迷コンビ⁈は続きがありそうな予感です。2024/10/31
よっち
40
昭和29年、大阪城付近で政治家秘書が頭に麻袋を被せられた刺殺体として見つかり、中卒の若手・新城が帝大卒のエリート守屋と組む警察小説。全てが正反対で衝突を繰り返しながら、戦後大阪に広がる巨大な闇に迫ってゆく二人。その背景に満蒙開拓団の苛烈な労働や、南下してきたソ連軍侵攻に際しての悲惨な状況、そして満州にでのアヘン製造で巨万の富を得てきた人々という構図があって、今回の事件に関わる人物たちの関係性が浮き彫りになってゆく部分は上手かったと思いますし、当時の時代性や警察組織の雰囲気も感じられてなかなか良かったです。2023/07/27
GAKU
38
昭和29年の大阪を舞台にしたミステリー小説。当然この頃の時代は知りませんが、それでも戦後まだ10年も経っていない大阪の街や、警察ってこんなだったのかな?という混沌とした雰囲気が感じられました。しかもこれを書いた作者が1990年生まれという事にもビックリです。 2024/07/05
森オサム
30
著者初読み。日本推理作家協会賞、大藪春彦賞W受賞作。しかも直木賞候補作と言う事で、読む前の期待値は上がりまくってました。だからかどうかは分かりませんが、個人的にはいまいち面白く無かったです。コツコツと捜査を進めて行く警察小説では有るのですが、その過程は分かり辛く、主人公のバディにも魅力を感じず、結末にもカタルシスが無く、とは言い過ぎかも知れませんが…。結果的には二つの事件で有り二人の犯人なのですが、読者にはほぼその構造は明かされています(犯人の一人の手記?で)。何だかとっ散らかった作品と言う印象でしたね。2024/01/19
駄目男
18
昭和29年、大阪城付近で政治家秘書が頭に麻袋を被せられた刺殺体となって見つかった。大阪市警視庁が騒然とするなか、中卒の若手・新城は初めての殺人事件捜査に意気込むが、上層部の思惑で、国警から出向してきた帝大卒のエリート・守屋と組むことに。全てが正反対のふたりは衝突を繰り返しながら、戦後大阪に広がる巨大な闇に迫る。昭和29年といえば、まだ国内整備も完全ではなく犯罪も多かったろう。人権意識も薄く警察による暴力も頻繁に起きていたのだはなかろうか。まったく違う個性の二人が、ただ一つ犯人を追う執念だけは一致していた。2023/12/03