内容説明
父とふたり、彷徨うように生きてきた少女ルー。父の身体には12の弾傷があった。彼女が12歳になった時、父は娘に銃の撃ち方を教え、亡き妻の故郷である港町への定住を決める。「娘に真っ当な暮らしをさせたい」と願うのだが、亡き妻の母は父娘をあからさまに避けるのだった。その背後には何があるのか、父の傷と関係が―?
著者等紹介
ティンティ,ハンナ[ティンティ,ハンナ] [Tinti,Hannah]
マサチューセッツ州セーラムで育つ。書店や出版社、文芸エージェンシーに勤務し、2002年に文芸誌One Storyを創刊、14年にわたり編集長を務める。05年、短編集ANIMAL CRACKERSで作家デビュー。09年に発表した二作目THE GOOD THIEFで全米図書館協会のアレックス賞ほか多数の文学賞を受賞し、話題に。本書は三作目で、18年のエドガー賞最優秀長編賞の候補になった。ブルックリン在住
松本剛史[マツモトツヨシ]
和歌山県生まれ。東京大学文学部卒業。英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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タツ フカガワ
46
物心がつく前に母親リリーを亡くしたルーは、体中に12の銃創がある父サミュエル・ホーリーと国中を渡り歩く暮らし。やがてルーが12歳のとき、母の故郷に移り住むが、祖母のメイベルは父娘を拒絶する。ルーの成長(青春)小説のようであり、そこにホーリーが銃弾を受けるに至った短編が挟み込まれるが、これがまた面白い。『ザリガニの鳴くところ』や『われら闇より天を見る』を思わせるような胸騒ぐ作品だなあと期待しつつ下巻へ。2023/06/01
Shun
30
海辺の町に定住しようとやってきた父娘。それまの彷徨のような生活の訳は父親の後ろ暗い事情があったが、娘が12歳になるといよいよ真っ当な生活をさせてやりたいという親心が見えます。その父には娘の知らない過去があり、また彼女の母親が亡くなった理由もそこに含まれているようだ。そして父の身体には弾丸によってつけられた12もの傷跡があり、その傷ができた時の父のエピソードを追想しながら、やがて物語は現在の父と娘へと繋がっていく。また12発分の弾丸のエピソードは時系列で描かれ、とても丁寧に彼らの来し方を知ることができる。2023/06/28
おうつき
20
上巻を読み終えた段階では話がどこに向かっていくのかまるで読めないけど、現代パートと過去パートを繰り返しながら父の12の銃創の秘密が徐々に明かされていくという構成は読み応えがある。この物語の最後に待ち受けているものは何なのか、下巻に期待。2024/03/14
ゆーすけ
4
今年一番感動した「ザリガニの鳴くところ」に似てる、というので気になって手に取ってみたけれど、「娘と暮らす今の父と、若い時の父の物語が交互に織りなす」「少女が不幸」という点以外では共通項が見つからない。登場人物が押し並べて喧嘩っ早く、常に犯罪を犯し、そんな誰もが普通の人という、世界にはどこかには当たり前に存在している風景なのだろう。日本で暮らしているとそんな生活は想像できず、新たな視点や気づきはあったけど、いま求めてるのはこれではなかった。文庫は上下巻構成のためここまで読み進めたけれど正直ハマれていない。2023/12/01
てっちゃん
4
父娘のストーリーだが、12の銃弾によって父の隠された過去が徐々に明らかになってゆく展開が面白い。下巻への期待大。2023/05/31
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