内容説明
“都には魔物が棲んでいる―”家督相続を巡って応仁の乱を引き起こした畠山義就や室町幕府最後の将軍となった足利義昭。百年に渡って泥沼の争いが繰り広げられた京を舞台に、裏切りと戦乱の坩堝と化した都に魅入られ、果てなき争いに明け暮れた七人の男たちの生きざまを描いた連作短編集。京都を巡る“仁義なき戦い”とは?
著者等紹介
天野純希[アマノスミキ]
1979年愛知県生まれ。愛知大学文学部史学科卒業。2007年『桃山ビート・トライブ』で第20回小説すばる新人賞を受賞してデビュー。13年『破天の剣』で第19回中山義秀文学賞、19年『雑賀のいくさ姫』で第8回日本歴史時代作家協会賞(作品賞)を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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けやき
41
応仁の乱から室町幕府滅亡までの都の天下人の盛衰を描いた連作短編集。畠山義就、細川政元、大内義興、細川高国、天文法華の乱、足利義輝、足利義昭と続く。本当に「都には魔物が棲んでいる」んだなぁ。2023/05/13
エドワード
26
歴史の授業で必ず習う、応仁の乱。足利将軍家と斯波氏、畠山氏の後継争いに細川勝元と山名宗全の覇権争いが加わり、京都中が戦場になった。これは試験に出るよ。しかし都での戦はその後も延々と続くのだ。畠山義就、細川政元、大内義興、細川高国等の興亡、そして担ぎ出されては裏切られ、翻弄され続ける足利将軍家、凄まじき下剋上。思えば、平清盛が政権を握って以来、日本の歴史は下剋上の歴史だったのではないか。剣を習得し自ら戦う足利義輝と、織田信長と絶対に許さない足利義昭の兄弟が、足利将軍の威信を必死で守ろうとする姿が痛ましい。2023/06/07
河内 タッキー
11
足利義輝や足利義昭。知られている人物像とは真逆ともいえる意外な人物像を創りあげている。いずれの人生も物悲しい。2023/07/25
熱東風(あちこち)
6
京の都に魅入られた男達の物語をリレー方式で描く。/最初はてっきり畠山氏と斯波氏の内紛を応仁の乱を通して描くものだと思っていたら、あっという間に足利義昭までたどり着いた。個人的には応仁の乱をもっと読みたかったなというのはある。/一番印象に残ったのは大内義興編『都は西方に在り』。東の駿府、西の山口。小京都と呼ばれて旺盛を極めていたが、大内氏は息子の代で陶興房の息子の謀反に遭い、更に毛利元就に滅ぼされてしまう。その毛利は天下を争わないと言いながら、関ヶ原で敗北…。栄枯盛衰の輪廻は尽きない…/面白かった。2023/04/20
ぷろヴぃそ
3
応仁の乱から室町幕府滅亡までの百年間、京の都に拘った者たちを描く連作小説。畠山義就、細川政元、大内義興、細川高国、天文法華の乱、足利義輝、足利義昭。主人公たちの中途半端ぶりのおかげで織田信長の徹底ぶりが際立つ。2024/01/16