内容説明
なぜこの国は目先の利益にとらわれ、将来を考えられない人間ばかりになってしまったのか?劣化する政治、迷走する外国語教育、目標なき経済活動…。わかりやすさばかりが求められる風潮に追随せず、立ち止まって考えることの重要性を説く。日本を代表する知性が縦横無尽に斬りこむ、心揺さぶる警世の書。
目次
1 時間と知性
2 ゆらぐ現代社会
3 “この国のかたち”考
4 AI時代の教育論
5 人口減少社会のただ中で
特別対談 内田樹×堤未果 日本の資産が世界中のグローバル企業に売り渡される―人口減少社会を襲う“ハゲタカ”問題
緊急提言 「人間的成熟」が望めない国の行きつく先は―サル化する日本
著者等紹介
内田樹[ウチダタツル]
1950年東京都生まれ。東京大学文学部仏文科卒。東京都立大学大学院博士課程中退。神戸女学院大学文学部名誉教授。『私家版・ユダヤ文化論』で第六回小林秀雄賞を受賞。第三回伊丹十三賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Janjelijohn
15
日本が、今もアメリカの属国で、自立できていないことや、教育現場や介護現場でも、経済効率性が求められ歪みが起こっているということがよくわかった。2024/04/21
阿部義彦
12
コストパフォーマンスだのタイムパフォーマンスだのほざいてる奴は、一生そうやってればいい、教育は持ち出しであるは心に染みた。会議とか稟議書とか、ホウレンソウ等はどうでも良い、自由裁量権の無い仕事は上の顔色を伺ってばかりで手遅れを推奨してる様なもん。経済駄目政治駄目、それでも知能は世界的に見て高いらしいという事は、考えに考えてやってこのザマ、余計始末に負えない。サルに政治・経済任せたら如何ですか?2023/05/17
へい
3
サル化という言葉はきつさはあるが、内田さんの解説を読み、論理を積まれるとまあその言葉しかないよなと思う。教育に関するところがやはり一番力点が置かれていて、色々な人が色々な立場から、これを教育に取り入れるべしと声をあげることにより、本来養うべき、基礎を疎かにしてしまうという状態になっている。その状態にしておきながらなおのこと〇〇力が必要だみたいな乱暴さの繰り返しによりさらにガラパゴス化する日本。やはり一から見直して、10分間読書くらいからやり直した方がいい気がする。母語でしかできない思考の話が興味深かった。2024/11/27
花陽(かよう)読書会
3
今さえ良ければ、自分だけ良ければ、それでいいという人々のことを、著者は「サル化」した人々と指摘、実際に、そういう悪しき個人主事が、閉鎖的な社会状況を生み、他の人や、世界での出来事への無関心へと連なっている気がして、「サル化」とは、言い得て妙だと感じました。2024/05/14
晴
2
「自分さえ良ければいい」と考えが多くいる現代の日本人に対して警鐘を鳴らしている本です。ぶっちゃけ難しかった…そのなかで印象的なところは、その職を捨ててまで言えないことなら言うな、責任持てということと(「週刊ポスト」問題)、AI時代の英語教育について、現場に自由裁量権は必要ということです。2024/03/02