出版社内容情報
松井 今朝子[マツイ ケサコ]
著・文・その他
内容説明
命を燃やすが如き“荒事”によって歌舞伎を革新し、元禄の江戸を熱狂させた初代・市川團十郎。民衆から信仰にも近い人気を得て、今なお愛される名演目と斬新な演出を生みだした不世出の天才役者はなぜ舞台上で殺されたのか。謎多き生涯と芸の神髄に迫る圧巻の一代記。巻末エッセイ・岸田照泰(成田山新勝寺中興第22世貫首)
著者等紹介
松井今朝子[マツイケサコ]
1953(昭和28)年、京都生まれ。早稲田大学大学院文学研究科演劇学修士課程修了後、松竹を経て故・武智鉄二氏に師事、歌舞伎の脚色、演出、評論などを手がける。97年『東洲しゃらくさし』で小説家デビュー。同年に『仲蔵狂乱』で時代小説大賞、2007年『吉原手引草』で第137回直木賞、19年『芙蓉の干城』で第4回渡辺淳一文学賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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niisun
25
いやぁ、歌舞伎を観たことがあれば、もっと楽しめただろうなぁ。それでも楽しい読書でした。初代“市川團十郎”の物語。市川一門の代名詞である“荒事”、「よっ、成田屋~」で知れた屋号、“三升”の家紋、印象的な“隈取り”などの起源も知れ、太夫元や座頭との関係性など興味津々に読みました。しかし、江戸の初期の元禄文化は、初めて庶民の中で形づくられただけに、特権階級の文化と違って、熱量がスゴかったんだろうなぁ~と想像に難くないですね。しかし、物語にも登場する安政地震と富士山宝永噴火は、相当な被害だったんだろうなぁ。2023/01/26
つきみ
9
十三代市川團十郎白猿襲名から遡ること349年、初代團十郎を描いた物語。赤くてぴちぴちするものにあやかり海老蔵と名付けられた子が、当時は男色の意味合いが強かった役者になる。ちょうど変革していく時代を生きた歌舞伎役者とその妻の熱量に圧倒される。「成田屋」の由来も面白く、また脈々と受け継がれる道の壮大さを実感でき、大満足の一冊だった。2024/05/13
しぇるぱ
5
江戸の芝居町に人の男の子が生まれた。真っ赤な姿で生まれてきた、と海老蔵と名付けられた。顔立ちがよろしいと役者になった。市川段十郎と名付けられた。のちに、市川團十郎と名前を改めた。市川團十郎が売れ出して、大名題になる。荒事という芸風を生み出して当たりを取る。語り口が痛快なんですよ。会話ではなく、地の文が講談の語りさながら、目は字を追っているのだが、口でもつぶやいてリズムを取っております。そんなこんなで、なかなかページが進まない。さすがに松井今朝子、歌舞伎を小説にするならピッタリです。ほめているのだよ。面白い2024/04/19
まりこ
3
史実に基づいてるみたいで、時代感が面白かった。2024/03/12
totapoo
2
初代と二代目團十郎の史実に基づいた小説。毎年南座の顔見世には行くが、やはり(元)上方勢が主なのがなんとなくわかった。菰の重蔵を父に持つことや、当時江戸歌舞伎が弾左衛門の支配下にあったことなどから、やはりその発祥はいわゆる河原者だったのだろう。さらに若衆歌舞伎のころの役者が男娼をしていたことなど書かれ興味深い。初代が刺殺されたのは設定ではその若衆好みからの怨恨となっているが真相は分からないらしい。**屋などの屋号も京都では五条のあたりにあった男娼宿の屋号であるらしいとその筋の人に伺ったことがある。2023/04/02