出版社内容情報
知念 実希人[チネン ミキト]
著・文・その他
内容説明
光陵医科大学附属雑司ヶ谷病院の新人医師・弓削凜は精神鑑定医を目指し、精神鑑定の第一人者と言われる影山司院長に弟子入りする。影山に導かれ、凜は統合失調症、詐病、解離性同一性障害など、様々な事件の容疑者たちの心の闇に迫る。そして凜にも、どうしても精神鑑定医にならなくてはならない秘密の事情があった。
著者等紹介
知念実希人[チネンミキト]
1978年、沖縄県生まれ。東京慈恵会医科大学卒。日本内科学会認定医。2011年、『レゾンデートル』で第4回島田荘司選ばらのまち福山ミステリー文学新人賞を受賞。14年刊の『天久鷹央の推理カルテ』に始まる「天久鷹央」シリーズが人気を博し、15年に『仮面病棟』が啓文堂書店文庫大賞を受賞しベストセラーとなる。『崩れる脳を抱きしめて』『ひとつむぎの手』『ムゲンのi』で、18年、19年、20年本屋大賞連続ノミネート(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ほんた
74
刑法39条の大きな壁。主人公はその意味を知るべく、精神科医になります。本作品を読めば、精神鑑定の難しさがよくわかります。 https://hontablog.com/十字架のカルテ2023/06/14
TAKA
70
精神疾患を患っていたから罪を問えない。ならその罪はどこに行ってしまうのか。事実は失くならないし罪は存在するはず。最後の「闇の貌」は解離性同一性障害。三人も殺めても罪にはならない。人格が違うからですで納得ができるだろうか。難しい問題です。精神鑑定医を目指すのも志だけではただならぬものがあるね。精神科って病巣が見えないぶん厄介だろうね。2024/02/17
ワレモコウ
63
新人医師の弓削凛は、思うところあって「精神鑑定医」を目指すため、その道の第一人者である影山司院長の助手をつとめることになる。5話の短編からなるが、凛の過去の事件が根底にあるため、長編を読んでいる満足感があった。刑法39条を扱った作品はたくさんあったが、今作はあくまでも罪を裁くのではなく、容疑者を鑑定する話であることが新鮮だった。統合失調症・解離性同一性障害、それらを詐病であるか否か判断する影山医師の冷静さがいい感じ。シリーズ化はないのかな?2023/03/26
坂城 弥生
62
精神鑑定をするお医者さんの物語。一話一話が重かったです。2023/01/25
しーちゃん
61
精神疾患のある者は、たとえ罪を犯しても裁かれない。それが殺人でも。だとしたら一体その罪の十字架は誰が背負うのか。親か。心神喪失、消耗、誰だってそんな状態に陥る事もある。嘘、偽り、詐病、あらゆる手段を使い精神疾患の演技をする犯罪者。被害者の無念は到底想像出来ない。法で裁けないなら自らの手で復讐したい親の章では心から同情した。精神鑑定医の判断は法をも動かす。なんて重荷なのだろう。医師自身の心は壊れないのだろうか。2023/05/31