出版社内容情報
小林 泰三[コバヤシ ヤスミ]
著・文・その他
内容説明
握手会でファンが起こした傷害事件のせいで活動休止中の地下アイドル河野ささらに、大企業の社外取締役のオファーが舞い込んだ!時代遅れの創業家一族や取締役が打ち出す実現不可能な目標「売り上げ一兆円」「世界一計画」に粉飾会計やデータ偽装で抗うしかない社員たち。果たしてささらは会社を救えるか?
著者等紹介
小林泰三[コバヤシヤスミ]
1962年京都府生まれ。大阪大学大学院修了。95年「玩具修理者」で第2回日本ホラー小説大賞短編賞を受賞しデビュー。98年「海を見る人」で第10回SFマガジン読者賞国内部門、2012年『天獄と地国』で第43回星雲賞日本長編部門、14年『アリス殺し』で啓文堂書店文芸書大賞、17年『ウルトラマンF』で第48回星雲賞日本長編部門を受賞。ホラー、SF、ミステリーなど様々なジャンルで精力的に執筆活動を展開。2020年逝去。翌年には第41回日本SF大賞功績賞が贈られた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
H!deking
60
おー、トカジさんとか新堂さんみたいなエキセントリック系と思わせつつ、意外とちゃんとしたストーリー展開でした。こういうのもっと読みたかったなー2024/03/24
よっち
29
握手会での凄惨な事件のトラウマでアイドル活動が続けられなくなっていた河野ささら。降って湧いたとある大企業からのオファーでまさかの社外取締役に就任する企業小説。運よく格安の量子ゲートを生み出しただけで、パワハラが横行し、社長の一声で何事も決まる前近代的な企業体質。それが崩壊するきっかけとなったあり得ない目標設定から、坂道を転げ落ちるような急展開は意外とそんなもんだよな…とも感じつつ、周囲に振り回されるささらが皮肉にも一番の常識人で、助力を得ながら会社を守ろうと奔走した彼女が迎えた結末はなかなか印象的でした。2022/09/03
活字スキー
20
【おまえらにたて突く権利なんてないんや。勘違いしたらあかんで。会社は民主主義と違うんやで】2年前の今日、このユニバースから旅立ってしまったヤスミンを偲びつつ読了。表紙やあらすじでなんとなく読んでみたという一見さんや、「小林泰三といえばグロホラー」と思ってる初級者には期待外れかもしれないが、個人的には今までで一番ヤスミンを近く感じられて狂い悶えそうだった。これだから読書はやめられない。やっぱヤスミンめっちゃ好っきゃねん。ささらちゃんは推せる。2022/11/23
nil
10
小林泰三が好きすぎること、彼の作品の出版がもうあまり望めないと思っていたこと、本作のネガティブなレビューをちらほら見かけてしまったことで、”刺さらなかったら悲しいので読まない”という選択肢を取って寝かせていた本作。好きな作品の新装版という最強回復アイテムを得たのでやっと手に取った。確かに小林泰三の作品に期待するものの多くは得られなかったが、JTCのダメな部分を濃度100倍にして更に氏の味付けでじっくりことこと煮込まれたような舞台や会話は最低最悪でニヤリとできる。マイルドなお仕事コメディとして面白く読んだ。2024/01/21
RED FOX
10
「お前らにたてつく権利なんてないんや。勘違いしたらあかんで、会社は民主主義と違うんやで」ワンマン社長の無理難題な目標に従う役職者達が一番のホラー。2023/10/24