出版社内容情報
女性の膝に異常に興奮する男、怪しい育毛剤に手を出す青年、アヒルのようなお尻の女子高校生。体に執着する恐怖を描く新感覚ホラー。
内容説明
娘の美容整形につき添った愛子は医者から「目尻の小皺がなくなれば十歳若く見える」と言われたことが頭から離れなくなる(臍)。女性の膝に魅入られ痴漢行為で逮捕された文哉は、代り映えしない日常を逃れるため別の犯罪行為に走るが(血流)。人体のパーツへの異様な執着が日常の殻を突き破る五つの物語。
著者等紹介
乃南アサ[ノナミアサ]
1960年東京生まれ。早稲田大学社会科学部中退後、広告代理店勤務。88年「幸福な朝食」が第1回日本推理サスペンス大賞で優秀作に選ばれ作家デビュー。96年「凍える牙」で第115回直木賞、2011年「地のはてから」で第6回中央公論文芸賞、16年「水曜日の凱歌」で第66回芸術選奨文部科学大臣賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
もぐたん
89
体の一部にフォーカスしたホラーサスペンス5篇。ほんの些細なきっかけで始まる執着が、ゾッとするオチに繋がる。それは誰しも嵌まる可能性のある落とし穴が、ポッカリと口を開けて舌舐めずりをしているよう。読みながら、ダメだダメだと主人公を引き戻したくなるが、怖いもの見たさも手伝って、するすると読んでしまう。ただ怖いだけでなく、切なさも残る最終話が特に印象的。★★★☆☆2022/09/21
やいっち
82
二日、サッカーワールドカップのスペイン戦の劇的勝利の熱冷め遣らない日に読了。乃南アサ作品は初めて。書店で表紙画像に惹かれて手が出たかも。小生は女性作家の小説やエッセイを読むのが大好き。発想法の根っこや生理感覚を嗅ぎ取りたいのかもしれん。2022/12/02
やも
76
娘の臍の整形に付き合ったらミイラ取りがミイラになってしまった母親×家族に興味がない父親、女性の膝に異様に興奮してしまうサラリーマン×体内を駆け巡る血液、若ハゲ×性欲×結婚の駆け引き、お尻の大きな女子高生×医者家系のプライド、中卒×プロボクサー×顎。読んでる最中は一歩間違えたら闇落ちしそうな危うさにゾゾゾ、ラストはひんやり孤独なゾゾゾで〆るホラーな短編5話。世にも奇妙な物語みたいで面白かった。コンプレックスを変えるのは物理的なことじゃなくって、気の持ちようなんだろね。2024/11/05
そら
71
臍、血流、つむじ、尻、顎、人体のパーツに捕らわれ、日常を崩してしまった人々の五篇の短編集。20年前に書かれたミステリーとのことだが、身体への興味や欲望は今も昔も変わらない。自分をポジティブにするための努力は良いが、度を過ぎると闇が待っている。身体への異様なこだわりは幸福や自由への渇望なのだろう。2022/07/17
yomineko@ヴィタリにゃん
60
読み友様からのご紹介本です📙体のとある一部分に執着する人々。おへその形が気に入らない少女!ピアスすればいいのではと思うがそういうのでもないらしい。読後感は余りよくないが、スラスラ読めた。2024/09/28