出版社内容情報
小説誌編集者・田川美希は本にまつわる謎にてんてこ舞いの日々だ。知恵袋のお父さんが体調を崩すが、病床でも推理の冴えは衰えない。
内容説明
運動神経抜群の編集者・田川美希の毎日は、本や小説にまつわる謎に見舞われ忙しい。松本清張の「封印」作品の真実、太宰治作品中の意味不明な言葉、泉鏡花はなぜ徳田秋声を殴ったのか…そんな時は実家に行き、高校教師にして「本の名探偵」・お父さんの知恵を借りれば親孝行にもなる!?愛されシリーズ第二弾。
著者等紹介
北村薫[キタムラカオル]
1949年、埼玉県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。大学時代はミステリ・クラブに所属。高校で教鞭を執りながら執筆を開始。89年『空飛ぶ馬』でデビュー。91年『夜の蝉』で日本推理作家協会賞、2006年『ニッポン硬貨の謎』で本格ミステリ大賞(評論・研究部門)、09年『鷺と雪』で直木賞、16年日本ミステリー文学大賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
へくとぱすかる
86
二つのジャンルの謎を解く。ミステリとしておもしろいのは日常の謎の方。しかし興味をひかれるのは文豪の謎。文豪の謎は一種の論文の形をしていない文学論・作家論として読める。謎のジャンルのハイブリッドなところは、ちょうど編集者としての美希が、体育会出身で、運藤神経が良いのと並行しているみたいに思える。中野のお父さんは元気だが、オビに書かれてあるように「倒れる!」のであるが、それでも推理は行う。身についた習慣ということか。野球選手の名前を連想させる作家、という設定は、いしいひさいちのマンガ作品を思い出して楽しい。2021/12/20
エドワード
72
中野のお父さんリターンズ。野球にバーベキュー、美希の編集部は今日も和気藹々だ。溢れる才気、飛び出す知性。今回の謎は「縦か横か」「ガスコン兵」「菊池寛はアメリカか」等、神保町をかけ巡り、昔の雑誌から糸口を探りだす。お父さんの引き出しの多さに唸らされる。松本清張と横溝正史は確執していたか、そりゃそうだなあ。ある作家さんの言葉「膨らみのないものは駄目だ。面倒なこと、時間のかかること、よく噛まないと飲み込めないようなところに、物事の味わいもあるんだがなあ。」に共感する。打ち上げの多い職場が羨ましい今日この頃だよ。2021/12/20
TakaUP48
68
出版社に勤める田川美希のお父さんは、高校の国語教師。だが、ただ者ではない!8件の難問を見事に解決!といっても、なかなかディープな話でついて行けないこと多々在り。精神病ではない。人格障害「100万回生きたねこ」の《絶望の書》と感じてしまう人もいる。「本の読み方にひとつの正解はない」は名言だと思う。ともに紅葉の弟子だった鏡花が、火鉢を飛び越えて秋声を殴った!う~む、人の話は流れ流れて、こうも面白い話になるのか。菊池寛、テニスのマッケンロー、ネクタイのストライプの逆向き方向がアメリカスタイル?この博識には降参!2022/09/30
がらくたどん
66
定年間近の高校国語教師が出版社勤務の体育会系娘の持ち込む出版業界ならではの謎を解く蘊蓄ミステリー第二弾。目次はすべて「○○は△か?」このタイトル・目次の文型連動は少なくとも次巻までは続いているのだが新刊はどうかな?読者は(私は?)こういうつまんない細工が大好物なのだ。今回はほぼ全話にホンモノが絡む=掘り出がある。もちろん、親孝行を兼ねて謎を土産に実家を訪ねる娘と自身の蔵書と知識で嬉々として応ずる父の姿も変わらない。後半「変わらない」ありがたさを噛み締める展開もあり本を仲立ちに結びつく幸せが地の物語に滲む♪2024/03/27
涼
57
http://naym1.cocolog-nifty.com/tetsuya/2024/11/post-02fb90.html 表紙絵が益田ミリというのも、ポイントが高いです。あの、なんとも言えないとぼけた味が、本文とよくマッチしていると思います。2024/11/30