出版社内容情報
作家としての軌跡、思い出交遊録、愛され続ける作品、家族が見た素顔ー向田邦子とその作品の魅力を語り尽くした、永久保存版の一冊。
内容説明
自分のベースにあるのは「向田邦子スタイル」(原田マハ)。『あ・うん』はもう何度読んだかわからない(小川糸)。いまの時代、貫太郎みたいにちゃぶ台ひっくり返したら投書が来る(小林亜星)…。向田さんの思い出や作品のことになると、みんな話が止まらない。色褪せないその魅力をとことん味わい尽くす、ファン必携の一冊。
目次
第1章 愛され続ける作家の軌跡(対談 向田和子×原田マハ―弱き者への優しい視線;対談 合津直枝×松永綾―向田さんのバトンを受け継いで ほか)
第2章 思い出交遊録(向田邦子は戦友だった;第83回直木三十五賞 ほか)
第3章 人々を惹きつける作品の魅力(私が愛する向田邦子 part1;作家の本棚「向田邦子さんの香りただよう十冊」 ほか)
第4章 家族が見た素顔の邦子(回想の向田邦子;姉・向田邦子の「遺書」 ほか)
文庫版特別付録 私が愛する向田邦子 part2
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
佐島楓
80
直木賞受賞時の選評を興味深く読んだ。山口瞳氏の寄稿文を読んでいても、かなり異例な形で受賞されたケースではなかったかと思う。また全体的な構成が優れており、様々な作家や向田作品に出演した俳優などの文章の間に向田さんご本人のエッセイや小説が挟まる心憎い演出がされている。向田邦子入門編としてベストな一冊。できればこの方の作品は、若い女性に読んでいただきたいとつねづね思っている。2021/08/29
tamami
50
以前刊行の同名のムック版を文庫化したもの。改めて最近の向田邦子ブームの広がりを感じる。作家自身のエッセイを間に挟みながら、仲間の批評や回想録あり読者の作品論ありで、様々な視点から作家を論じている。今回最も印象に残ったのは、第4章「家族が見た素顔の邦子」で、小説やエッセイからは知り得ないエピソードも多く、ドキッとするようなことも載せられていた。半ば公人とは言いながら、遺書にある預貯金の残高など、作家とは因業な商売だなと改めて思う。短い人生の中で何もかもやり遂げた、大人の女性としての向田邦子を見る思いである。2021/09/20
みなみ
23
航空機事故で亡くなった向田邦子との思い出や作品について色んな作家や家族が語る本。小川糸さんが紹介していた「強いことばには意地で刃向えるが、やさしいことばには他愛なく涙がにじんでくる」という言葉が心に残った。亡くなって随分経つのに、こういった本が出版されることが、向田さんが愛されていることが感じられる。「父の詫び状」や「あ・うん」が読みたくなった。2022/11/23
ドナルド@灯れ松明の火
20
同タイトルのムック本は既読だがあちらは文春のあざとさが垣間見えた。向田映画の特に韓国人の出演部分。今回はバッサリ切り捨てられていて、新たな思い出話などが追加され良くなっている。 こちらはお薦め。2022/02/28
Shimaneko
19
世代的には自分の両親と同じ昭和一桁なので、存命なら90歳代か。著者の享年をとっくに追い越してしまった今も、ときおり古い文庫版のエッセイを拾い読みしたりする大好きな作家のひとり。20代と思しき在りし日のジャケ写が素敵。自分も姉を52歳で亡くしているので、末妹の和子さんの心情が他人事ではなく切ない。「お世話になった人には生きている間にきちんと感謝の気持ちを伝えなければならない」(p.342) って、ほんとそうだよなーと年を重ねるほど実感する今日この頃。月並みだけど、もっとたくさん読みたかった。2022/01/28