文春文庫
小萩のかんざし―いとま申して〈3〉

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  • サイズ 文庫判/ページ数 525p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784167916411
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

出版社内容情報


作家・北村薫が、父の死後に遺されていた膨大な日記を考証、再生。ミステリ作家・本の達人としての腕を存分に振るいつつ、無名の一青年の目を通した昭和初期の歴史的シーンを繊細に愛情深く甦らせた三部作の完結編。

ドイツではヒトラー内閣が成立し、三月には東北三陸地方に大津波が押し寄せた昭和8年、父は慶応義塾大学を卒業するが、不景気の波が押し寄せる時代に就職口はない。文春の試験にも不合格になり(池島信平が合格)、大学院に進むものの家の経済は苦しく、定期を買う金もない。崇拝する折口信夫から満足な評価を得る事もできず、国文学への情熱も断ち切るしかないのかと懊悩しながら東京、横浜をさまよう父の姿が哀切をもって描き出される。一方、文学史上の有名人物と折口信夫が敵対し、罵倒批判された数々の事件の真相に迫る著者の筆はスリリングかつ感動的。時代の背景と状況を踏まえ、文献、日記、関係者の随筆に散見される該当箇所を読み解きつき合わせることで、折口信夫の底知れぬ大きさと怖さ、師弟関係に潜む感情、国文学に生涯をかける人々の熱情と嫉妬があぶりだされる。横山重、佐々木信綱、池田弥三郎、祖父、父、学友たち-ー
あの時代を歩んだ有名・無名の人々の姿を捉える、感動の昭和史。 解説・桂島浩輔

内容説明

昭和八年、青年は慶應義塾大学を卒業するが就職口はない。院に進むが家の経済は苦しく、師・折口信夫から満足いく評価も得られない。歌舞伎と書物漬けの煩悶の日々。好学の士であった父・演彦が遺した膨大な日記を考証、同時代を生きた有名・無名の人々の姿を愛惜込めて蘇らせた奇跡の三部作、ついに完結。

著者等紹介

北村薫[キタムラカオル]
1949年、埼玉県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。大学時代はミステリ・クラブに所属。高校で教鞭を執りながら執筆を開始。89年『空飛ぶ馬』でデビュー。91年『夜の蝉』で日本推理作家協会賞、2006年『ニッポン硬化の謎』で本格ミステリ大賞(評論・研究部門)、09年『鷺と雪』で直木賞、16年日本ミステリー文学大賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Masakazu Fujino

10
文庫本になるのを心待ちにしていた、「いとま申して 3」 圧倒的な読後感。知の巨人、歌人で古代学・民俗学の大家の折口信夫とその周辺の人々の姿が群像劇のように描かれている。北村薫さんのお父上、宮本演彦氏はその一人として学び生きていた。お父上の辞世「『いとま申して、さらば』と皈り行く 冬の日の、竹田奴かな 」歴史の中で忘れ去られようとする人々の姿を残そうとする北村さんのおかげで、折口信夫とその周辺の人々のさまざまな姿を知ることができた。待っていた甲斐があった。2022/06/24

まあさん

4
北村薫氏は膨大な資料を吟味、折口信夫氏や横山重氏といった人物の足跡を追いかけ、物語として再現します…しかもそれが日記の時系列と絡んでいくという…読み応えたっぷりの作品です。 小生の知識があまりに追いつかないので、ネットで不明点を調べながら(こういった読み方ができる文明の利器に感謝…)の遅読中の遅読となりましたが、その苦労も愉しみと思えるものでした。2024/02/12

24う゛ぃれっぢ

4
一人の学生の日記から昭和史に切り込む物語の完結編。昭和の時代を生きた人々の運命と結末に心が揺れます。ただただすごい。本当にすごい。2021/03/07

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