出版社内容情報
伊豆の豪族北条時政の娘は流人源頼朝に恋をする。源平の合戦、鎌倉幕府成立、歴史の激流にもまれ乱世を生き抜く女を描いた歴史長編。
内容説明
伊豆の豪族北条時政の娘に生まれ、流人源頼朝に恋をした政子。やがて夫は平家への叛旗をあげる。源平の合戦、鎌倉幕府成立―御台所になった政子は、実子・頼家や実朝、北条一族、有力御家人達の間で自らの愛憎の深さに思い悩む。歴史の激流にもまれつつ生きた女を描き、大河ドラマ原作にもなった傑作歴史長編。
著者等紹介
永井路子[ナガイミチコ]
大正14(1925)年、東京に生れる。東京女子大学国語専攻部卒業。小学館勤務を経て文筆業に入る。昭和40年、「炎環」で第52回直木賞受賞。57年、「氷輪」で女流文学賞受賞。59年、第32回菊池寛賞受賞。63年、「雲と風と」で吉川英治文学賞受賞。平成21年、「岩倉具視」で毎日芸術賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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夜間飛行
244
流人頼朝と肌を重ねた日から父の命じる縁談を拒み、夜道を走って頼朝の腕に飛び込む。性の歓びに陶酔し、多情な夫が通う女の家を壊す一方、母となった政子は敵の子を殺す夫の所業に悩み、子を奪われた女に同情する。だが母子の断絶は日常にもあった。習いとはいえ、乳母に子を預け遠くから見守る母はどんな思いだろうか。勿論それは人にもよるだろうが、遊びに来た我が子の冷酷さを知り、一人苦しむ政子が哀れだった。権力闘争の中で四人の子と一人の孫を喪っていく政子を見るにつけ、母であることの苛酷さに男の私も胸が締めつけられるようだった。2022/10/30
ちょろこ
135
流れを掴めた一冊。漠然とした知識しかなかったこの時代のこの鎌倉の地。今回、この時の流れを掴むことができて満足。政子目線で描かれるストーリーも読みやすく、嫉妬深さが可愛らしい、頼朝を一途に想い、慈愛に満ち、頼朝亡き後の行く末をただひたすら案ずる政子に出逢えたのが何よりも良かった。頼朝との夫婦愛は微笑ましく描かれ、子を想う姿にはこちらまで心打たれるほど。随所で、自分の心の声に揺れまくる政子の姿もまた良い。そして数々の良かれと思った決断が後々の運命を変えてしまうとは。大河ドラマで黒幕達の表情をしっかり追いたい。2022/01/11
修一朗
124
のめり込んでいる「鎌倉殿の13人」が佳境に入っていてとてもいいタイミング。この時期は一族郎党みな裏切り粛清誅殺の連続で憶えきれないほど次々と人が入れ替わっていくのでイメージを固定して読めてよかった。小池栄子さんはもう完全に政子の乗り移りだ。母として祖母としてそして女性としての立ち位置を貫いて描かれた北条政子,子供や孫を次々と殺される運命に嘆き悲しみながら北条家隆盛のために生きた政子の姿を描く。凄い人生だ。最後にはこんな運命を受け入れるようと立ち上がる政子。圧巻の一言。2022/08/30
毎日パン
73
『鎌倉殿の13人』を見始めて気になったので、初めて歴史小説を読んでみました。女性目線の歴史だったというのが大きいのだと思いますが、兎に角面白かったです。歴史知識が皆無に近い私でも楽しく読めました。今まで全く興味の無かった分野なのですが、ハマりそうです。2022/02/20
鍵ちゃん
66
伊豆の豪族北条時政の娘に生まれ、流人源頼朝に恋をした政子。やがて夫は平家への叛旗をあげる。源平の合戦、鎌倉幕府成立、御台所になった政子は、実子、頼家や実朝、北条一族、有力御家人達の間で自らの愛憎の深さに思い悩む。歴史の激流にもまれつつ生きた女を描き、大河ドラマの原作にもなった。来年の大河の予習と思い読んだが、北条時義の場面が少なかった。でも政子の愛憎が深すぎた故、悲劇が続くというより招いたようだった。悪女と言われているが本当は暖かい人だったかも。2021/12/28