出版社内容情報
清水平四郎と名乗り尾張藩で過ごす磐音。田沼一派の力で、さらなる逃避を余儀なくされる。身重のおこんと命懸けで向かうのは……。
内容説明
家基の死により窮地に陥った速水左近は切腹こそ免れたが、甲府勤番支配に転じることとなる。それを知った今津屋の老分番頭・由蔵は速水の屋敷へと急ぐ。一方、身分を隠して尾張藩で暮らす坂崎磐音と身重のおこんの前に田沼の刺客が姿を現し、磐音はさらなる逃避行を決意する。追手の追跡を逃れるために、目指した地とは…。
著者等紹介
佐伯泰英[サエキヤスヒデ]
1942年、北九州市生まれ。日本大学芸術学部映画学科卒。デビュー作『闘牛』をはじめ、滞在経験を活かしてスペインをテーマにした作品を発表。99年、時代小説に転向。「密命」シリーズを皮切りに次々と作品を発表して高い評価を受け、“文庫書き下ろし時代小説”という新たなジャンルを確立する。著書多数。2018年、菊池寛賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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KAZOO
93
尾張では偽名を使いながらも主人公の魅力にひかれて様々な人たちから慕われますが、やはりここにも田沼の手が伸びてきます。そこから西へと逃れようとしますが敵の裏をかいて高野山裏の雑賀衆の隠れ里に逃れます。ここでさらには佐々木道場の若手二人が参集し主人公の嫁さんが将来の空也という子供を産みます。2020/12/06
とし
83
決定版・ 居眠り磐音「姥捨ノ郷」35巻。安永8年、逃避行をする磐音一行だけで無く、江戸の今津屋、小田平助、品川柳次郎、金兵衛、武左衛門、幸吉、鶴吉、豊後関前藩、辰平、利次郎と磐音に関わる人々の近況が描かれ一気読でした。ハイライトは空也誕生。 2020/11/19
yamatoshiuruhashi
37
尾張は磐音を庇護する意思を持つものの磐音は終わりを出でて、なおかつ用意された地を避け、霧子の案内する隠れ里へと向かう。そこで磐音の長男が生まれ話は進む。「隠れ里」と言えば、水木しげる大先生のイメージが強い。深山にある桃源郷、かと思えば、さら小僧が自分の歌を盗んだと初稿当時のトレンドだったGS(グループサウンズ)の歌手たちを誘拐して閉じ込めたという異次元のような場所。全く違う「隠れ里」であったが、なるほどこれほど難所を超えねばならないなら常人には「隠れ里」かもしれない。2020/08/12
紅葉
13
尾張名古屋で心強い味方を得て、なんとか安定した場所で出産ができるかと思っていたのですが…思いの外早く、また旅の空へ。妊婦さんには旅…ましてや山道はキツいですよね…でもなんとか磐音たちが辿りつけた地が、まるで運命に導かれたような不思議な場所。霧子のお手柄。磐音たちの善行のお導きでしょう。 速水様も無事で良かった。生きてさえいれば、仲間も結束力も強いから、いつか佐々木道場の復興も叶うのではないでしょうか。今は我慢の時。でも利次郎と辰平は若いですね。我慢が効きません(笑)そして玉のような跡取り誕生♪目出度い。2021/01/31
fuku3
11
2021.5.12読了。居眠り磐音シリーズ第三十五弾。甲府勤番の山流しが決まった速水左近を慕って大勢の人が密かに集まり府中宿にて別れを惜しんだ!名古屋に潜伏していた磐音の元に田沼からの刺客が送り込まれ磐音の正体が名古屋中に知れ渡った!磐音一行は芸州に行くと見せ掛け敵の裏をかき霧子の故郷、紀州の姥捨の郷に何とか辿り着いた!地方で修行中の松平辰平と重富利次郎は合流し高野山の隠れ郷を目指した!その頃江戸では金兵衛、武左衛門、幸吉がおこんの安産祈願の為大山詣での珍道中!姥捨の郷でおこんが無事に男子を出産した!2021/05/12