出版社内容情報
冷徹な頭脳ゆえ「悪左府」と呼ばれた藤原頼長が、琵琶の名手を使い暗躍する。保元の乱へと転がる時代をダイナミックに描く!
内容説明
平安時代の末。藤原の氏の長者藤原頼長は冷徹な頭脳ゆえ「悪左府」という異名で呼ばれていた。己の権力争いの道具として頼長が目を付けたのは、下級貴族の娘だった。琵琶の名手である娘は下された密命のため帝の傍に送り込まれる。時代の変わり目に彼女が見たものとは。謎とスリルに満ちた長編宮廷小説登場。
著者等紹介
伊東潤[イトウジュン]
1960年、神奈川県横浜市生まれ。早稲田大学卒業。「国を蹴った男」(講談社)で第34回吉川英治文学新人賞を、「巨鯨の海」(光文社)で第4回山田風太郎賞と第1回高校生直木賞、「峠越え」(講談社)で第20回中山義秀文学賞、「義烈千秋 天狗党西へ」(新潮社)で第2回歴史時代作家クラブ賞(作品賞)、「黒南風の海―加藤清正『文禄・慶長の役』異聞」(PHP研究所)で本屋で選ぶ時代小説大賞2011を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
coolgang1957
34
図書館の新刊棚に置いてあったので思わず借入、新しいものに弱いなぁと自分に突っ込む😅読んでみると平安期が舞台なので人の名前の読み方や、貴族や武士の家系がとうとうしっかり把握できずに読み終える😓平清盛と源義朝くらいしか名前はピンときてないなぁ、まあエピローグに出た人は、教科書に良く出てた人でしたが主人公じゃないし……とにかく藤原氏の終焉に絡むサイドストーリーです。貴族たちの権謀術数は興味深かった、けどやっぱり名前が苦手です😝(2回言うた😑)2020/09/30
金吾
31
○頼長は有名ですがなかなか小説の題材になっていないので、権勢を保持している頃から没落、保元の乱まで一連が書かれていて面白かったです。また栄子、多子の視点の変化も良かったです。栄子は醜女となっていますが、今でいうと美人に当たる描写なので、映像化されることも考慮したのかなあと思いました。鴨長明は少しビックリしました。2021/12/01
Ayako
27
平安時代末期、貴族に代わり武士が力を付けつつあった時代を舞台に、琵琶の名手・栄子の数奇な運命が描かれる。藤原頼長に利用され、時の権力闘争に巻き込まれつつも、芯の通った栄子の生き方に共感した。女性の地位など無かったこの時代、制限がある中でも栄子、そして多子は凛とした人柄が伝わってきた。また平安時代ならではの優美な王朝文化の描き方も丁寧で、円熟した文化と迫り来る変革の足音を同時に感じる事が出来た。2020/09/22
TheWho
15
藤原北家の摂関政治が衰退し院政真っ只中の平安末期に摂関藤原氏の興隆を目指した麒麟児で悪左府と呼ばれた藤原頼長より近衛帝の寵を得る為に宮中に送り込まれた架空の琵琶の名手の女御「晴澄栄子」を主人公とした保元の乱の序章の物語。保元の乱を院政の継承争いだけでは無く摂関藤原氏内の攻防の視点に立ち、より明確に武家平氏政権の移行、いや後の鎌倉武家政権への移行を栄子の視点で哀愁深く語られる源平盛衰記の序章で平安衰退記とも云える秀作です。2022/02/22
ねんまに
10
保元の乱を描き、貴族社会が武家に侵食され、やがて両者の立場が入れ替わっていくまでの物語。この時代の小説はあまりないのでその点でも珍しく、また、貴族や朝廷が衰退していく様への説得力もあり、歴史小説としては優れた出来だったのですが、いくらなんでも人間が描けてなさすぎるのが気になりました。乙女ゲームかというくらい、主人公の栄子に次々と言い寄り、恋に落ちていく男たち。栄子は醜女という設定なのにです。もちろん、当時で言う醜女であり、現代だと逆に超絶美女、ということなのでしょうが、それにしてもみんな現代的感覚持ちすぎ2021/08/01
-
- 和書
- 青嵐 角川文庫