内容説明
文芸賞をW受賞しデビューした著者。しかし、初版部数が下がるという事態に直面し、改めて「売れる本」について試行錯誤する。本を作る人、売る人、宣伝する人…各スペシャリストに取材して見えてきた「売れる本」の秘訣とは。実際にその策を用いて、新作小説をベストセラーにするべく奔走した結果までを描く突撃ルポ。
目次
序章 「本が売れない」とされる時代の作家として
第1章 作家と、編集者
第2章 とある敏腕編集者と、電車の行き先表示
第3章 スーパー書店員と、勝ち目のある喧嘩
第4章 Webコンサルタントと、ファンの育て方
第5章 映像プロデューサーと、映像化のボーダーライン
第6章 「恋するブックカバーのつくり手」と、楽しい仕事
終章 旅の末に辿り着いた場所
おまけ 『拝啓、本が売れません』のその先
著者等紹介
額賀澪[ヌカガミオ]
1990年、茨城県行方郡(現・行方市)生まれ。日本大学芸術学部文芸学科卒業後、広告代理店に勤務。2015年『ヒトリコ』で第16回小学館文庫小説賞受賞。同年『ウインドノーツ』(単行本改題『屋上のウインドノーツ』)で第22回松本清張賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さてさて
166
『面白い本を作っても、売れるとは限らない。それでも《面白い本》ではないと絶対に《売れる本》にはなれない』という現実。そんな中、『私は小説の作り手として地道に《面白い本》を作って、本を売ろうとしている人達と「本を売る方法」を考え続けていきたい』とおっしゃる額賀さん。そんな額賀さんが、”毒”を吐いたりしながらも小説家として生きる中での真摯な思いを綴ったこの作品。小説の世界を愛する方には、とても興味深いその舞台裏を垣間見ることのできるこの作品。小説を作っていく側の世界を知ることのできたとても印象深い作品でした。2022/03/19
のんちゃん
42
作家額賀澪氏が「売れる本」について考え、本に関わる専門家達に取材し、その極意を探求していくルポ。そうか〜、というのがまず第一の感想。ここに集う読書家の皆さんは、書店等に行く時、お目当ての本を探しに行く事が多いのではないだろうか?私を含めて。勿論、書店等その場で見て購入を決める場合もあるが、私の場合、前者の買い方の方が断然多い。でも現場では、普段読書に興味がない人をどこまで取り込めるかが売れ行きの鍵なのだ。その秘訣が各専門家から語られる。一冊の本が読者に届く迄の奮闘が分かり、一層、本に愛着がわいた。2022/07/27
nemuro
42
作家がこれを言ってしまったらお終い。大丈夫なのかなぁ、などと思いながらの購入。文庫は今年7月だが、単行本では2018年3月。2015年にデビューして『ヒトリコ』で第16回小学館文庫小説賞、『ウインドノーツ』で第22回松本清張賞を受賞したものの、その後、初版部数が下がるという事態に直面し、作家自らが突撃ルポを開始したらしく、それが帯の「なりふり構わぬ話題の書!」につながっているようだ。本づくりのちょっとした舞台裏も垣間見えて面白かった。たぶん吹っ切れた感じの「本書以降」と、「本書以前」を読み比べてみようか。2020/08/03
ぼっちゃん
38
敏腕編集者、スーパー書店員、映像プロデューサー、ブックカバーデザイナーなどを取材し「売れる本」の秘訣を探った本。プルーフを配り、書店員さんに応援してもらうのはわかるが、面白くなかったと感想は送り返さないから、それが確かに帯になってもと思ってしまった。”タンスの角に足の指をぶつけてほしい人”の毒は面白い。2020/07/12
Shun
34
本書は「売れる本」を作るため、編集者や書店員などの本を売る仕事に関わる人たちへ突撃取材しまとめられたノンフィクションです。出版不況が叫ばれる昨今にこのような攻めたタイトル、初めは自虐ネタかとも思いましたが中身はしっかりと本を売るために試行錯誤した内容となっていて勉強になりました。この時代に辛くない書店はないんじゃないかとの言葉には重みが感じられ、だけどこんな苦境だからこそ新たな試みで業界を盛り上げ、そして日々面白いものを読者に届けたいという現場の人たちの声が刺さります。2021/06/06