出版社内容情報
人間は愛のためにどこまで自己を犠牲にすることが出来るのか。草彅剛がトランスジェンダーを演じた話題の映画を、監督が自ら小説化。
内容説明
故郷を離れ、新宿のニューハーフショークラブのステージに立つ、トランスジェンダーの凪沙。ある日、育児放棄にあっていた少女・一果を預かることになる。常に片隅に追いやられてきた凪沙は、孤独の中で生きてきた不幸なバレリーナの一果と出会い、母性の芽生えを自覚するが…。切なくも美しい現代の愛を描く、奇跡の物語。
著者等紹介
内田英治[ウチダエイジ]
リオデジャネイロ生まれ。週刊プレイボーイ記者を経て映画監督となる。2014年の映画「グレイトフルデッド」が海外で注目されたことをきっけに、「下衆の愛」がスマッシュヒットを記録。東京国際映画祭、ロッテルダム映画祭など50以上の海外映画祭にて上映。イギリス、ドイツなどでも公開され、イタリアではリメイクもされた。作家性を前面に出したオリジナル脚本にこだわり、海外展開を視野に置いた映画作りを行っている。2019年にはNetflix「全裸監督」の脚本監督を担当して大きな注目を集める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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読書素人本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
いつでも母さん
225
映画は観ていない。凪沙はこのカバーの剛で脳内変換されて読んだ。精神的に切なく苦しくて・・これは哀しいほど救いの無い作品だった。LGBTが少しずつ認識されるようになって来てはいるが、まだまだ特に田舎や年配の方には受け入れてもらえるのは先なのだろうなぁ。親は子を庇護する義務があるけれど、自分の都合や感情で抱え込んではならない。『母』愛すべき、けれど厄介な存在でもある。一果の心を白鳥が代わりに飛び立ったのだろうか。人は希望がなけりゃ生きていけないー2020/11/15
ケンイチミズバ
134
子供の頃に自分は男の子じゃない、女の子だと思った時から家族からも社会からも願いを踏み躙られて生きて来た人のことを間違って理解してきました。母性が芽生え母親になりたい願いも叶わずそのような人が理解されぬまま死ぬような社会でよいはずがない。ジェンダーという言葉すら無かった。今は少しはまし。辛いことに耐えてきた人はみな優しい。若いころオカマのひとたちはみな優しいと思ったことがある。それは辛いことに耐えてきた強さがあるから。白鳥となって飛び立った凪沙は一果にはまだこっちに来ちゃダメだからねと言い残したのだろう。2021/03/29
どぶねずみ
124
映画を鑑賞する前に読んではいけないと思いながらも、主演のつよポンが読んだと言うから衝動的に。とても難しいテーマで演じるのも大変だったと想像する。私自身がトランスジェンダーについての知識や意識が全くなかったから、この作品(この本もこれから観る映画も含めて)を通じて学んだことは多い。そして、どんな立場でも母性が生じることがあるということも。悲しい結末、映像を見たら絶対に泣くだろうな。2020/10/14
H!deking
114
読み友さんおすすめの一冊。いやー本当に素晴らしい作品でした。俺も昔よくショーパブとか遊びに行ってたのでなんかその頃のこと思い出したりして色々刺さりました。映画は近所じゃやってないみたいだけど観るしかないな。おすすめ!2020/09/27
akiᵕ̈
107
トランスジェンダーの凪沙と育児放棄にあっていた一果。共に生き辛さと孤独を抱えていた二人は出会い心通わせて行く。女性の心を持つことは“障害”じゃないのに周囲の心無い言葉に傷つきながらも体も女性になる希望を持ちながら生きる凪沙は、唯一自分の居場所はこことバレエに夢中になる一果に母性が芽生え、自分の事よりも一果の希望を母心で応援していく姿には何度も胸を打たれた。希望が絶望に変わってしまうやるせなさ、あの時手を離していなければ、、、凪沙も一果もりんも心情が痛い程に伝わってきて、とても切ない愛に溢れた心に残る一冊。2021/06/12