文春文庫
果てなき便り

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  • サイズ 文庫判/ページ数 240p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784167914837
  • NDC分類 910.268
  • Cコード C0195

出版社内容情報

作家・吉村昭から愛する女性=妻への手紙と、妻から夫への手紙の束は、100通以上にも及ぶ。



出会ったばかりの文芸部時代、互いの作品評から始まり、個人的な付き合いを深めていくなかでの恋文、作家として共に歩んだ長い苦節の時代、家族と遠く離れ孤独にさいなまれる取材の旅、そして妻への最後の手紙となった遺書――。



吉村昭没後10年を機に、プラスチックケースの引き出しいっぱいに入ったそれらの手紙を一つずつ検め、当時を振り返りながら綴ったエッセイ。



決心、不安、希望、情熱、望郷、愛、いたわりなど、吉村が心の底までさらけ出すのは、唯一妻への手紙のみだった。





夫婦作家の慈しみの軌跡。



解説・梯久美子

内容説明

節子、僕の許を離れるな!どんなわがままを云つても、決して離れてくれるな―夫・吉村昭からの手紙は、妻への強い愛の言葉に満ちていた。苦節の時代に交わした励まし、文学への決意。遠く離れた地で孤独に苛まれて綴る、家族への慈しみ。最後に受け取った遺書。夫婦作家として歩んだ道を書簡からたどる。

目次

文学はつきつめた戦ひです(いのちをかける仕事;遅まきの青春;万年筆の音;少女小説からの出発;心の拠;作家を訪ねる;小説を書く女;山形からの便り;結婚への道)
夫婦って美しいと思ふ(折りたたんだ手紙;旅あきない;兄と弟;弟への手紙;幾山河;鉄橋)
帰りたい(沖縄へ;遺書のような手紙;望郷;日々の手紙;帰国近し;文学者の墓)
節子さんへ(安住を求めて;三回の海外取材;五十年後の退学願;弟の看護日誌;弟との別れ;最後の手紙)

著者等紹介

津村節子[ツムラセツコ]
1928年、福井市に生れる。学習院大学短期大学部卒業。在学中より小説を発表し、64年「さい果て」で新潮社同人雑誌賞、65年「玩具」で芥川賞を受賞。その後90年「流星雨」により女流文学賞を、98年「智恵子飛ぶ」で芸術選奨文部大臣賞、2011年「異郷」で川端康成文学賞を受賞。また同年、「紅梅」で多くの人々に深い共感と感銘を与えたとして菊池寛賞を受賞した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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fwhd8325

61
こんなにも素敵な男女の関係があるのだろうか。文壇の同好として、恋人として、夫婦として。津村さんのことは吉村さんも書かれているので、同じエピソードを読んだ記憶もありますが、津村さんが描かれるお二人の世界は、それでまた新鮮でした。根底にお互いがリスペクトしていることがよくわかります。美しい。2023/11/09

タツ フカガワ

36
著者の津村さんが吉村昭さんと出会ったのは大学のころで、卒業後に結婚。以来、吉村さんが亡くなるまでの56年間の絆が100通余りの手紙のなかから蘇る。「貴方と共に過ごすことができたことは、僕の最大の幸福です(中略)明日には帰るというのに……。笑わないでください」(〈三回の海外旅行〉より)と書くのは結婚24年目の手紙。〈最後の手紙〉となる遺書にも、吉村さんの愛が溢れている。これら6話が収められた終章「節子さんへ」は涙なしには読めませんでした。2021/11/08

mondo

11
吉村昭作品の愛読者です。何て、素晴らしいエッセイなんだろう。出版の書評を読んで、すぐ買い求めました。学生時代から互いの気持ちを思いやりながら育んできたものは、まさしく、愛することの尊さではないだろうか。どんなに優れた恋愛小説よりも、魅せられました。 そして、これほど、読み終えて、期待を裏切らない本と巡り会えたのも久しぶりかもしれません。この本に出会えて、さらに吉村昭さんと津村節子さんの本を読もうと思いました。

Quijimna

9
夫・吉村昭との書簡の往復の中に、文学に殉じた誠実で真剣な生き様を見る。吉村昭はまことに天才であったが、同時に苦行僧のような努力家であり、その中で一度も妻へのいたわりを忘れぬあたたかい人間であった。愛読した名作の背後の日々も知れて、吉村ファンなら必読の一冊と言うべし。★★★★☆2020/06/09

はる@夏の霜

4
吉村氏から奥様の津村節子女史への手紙がラブラブ過ぎ!結婚した後もこんな手紙を書くなんて、本当に奥様が好きだったんだろうなー。奥様宛ての手紙だけど、吉村氏が書いた作品の裏が判って、吉村ファンとしても楽しめた。2020/07/13

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