出版社内容情報
作家・吉村昭から愛する女性=妻への手紙と、妻から夫への手紙の束は、100通以上にも及ぶ。
出会ったばかりの文芸部時代、互いの作品評から始まり、個人的な付き合いを深めていくなかでの恋文、作家として共に歩んだ長い苦節の時代、家族と遠く離れ孤独にさいなまれる取材の旅、そして妻への最後の手紙となった遺書――。
吉村昭没後10年を機に、プラスチックケースの引き出しいっぱいに入ったそれらの手紙を一つずつ検め、当時を振り返りながら綴ったエッセイ。
決心、不安、希望、情熱、望郷、愛、いたわりなど、吉村が心の底までさらけ出すのは、唯一妻への手紙のみだった。
夫婦作家の慈しみの軌跡。
解説・梯久美子
内容説明
節子、僕の許を離れるな!どんなわがままを云つても、決して離れてくれるな―夫・吉村昭からの手紙は、妻への強い愛の言葉に満ちていた。苦節の時代に交わした励まし、文学への決意。遠く離れた地で孤独に苛まれて綴る、家族への慈しみ。最後に受け取った遺書。夫婦作家として歩んだ道を書簡からたどる。
目次
文学はつきつめた戦ひです(いのちをかける仕事;遅まきの青春;万年筆の音;少女小説からの出発;心の拠;作家を訪ねる;小説を書く女;山形からの便り;結婚への道)
夫婦って美しいと思ふ(折りたたんだ手紙;旅あきない;兄と弟;弟への手紙;幾山河;鉄橋)
帰りたい(沖縄へ;遺書のような手紙;望郷;日々の手紙;帰国近し;文学者の墓)
節子さんへ(安住を求めて;三回の海外取材;五十年後の退学願;弟の看護日誌;弟との別れ;最後の手紙)
著者等紹介
津村節子[ツムラセツコ]
1928年、福井市に生れる。学習院大学短期大学部卒業。在学中より小説を発表し、64年「さい果て」で新潮社同人雑誌賞、65年「玩具」で芥川賞を受賞。その後90年「流星雨」により女流文学賞を、98年「智恵子飛ぶ」で芸術選奨文部大臣賞、2011年「異郷」で川端康成文学賞を受賞。また同年、「紅梅」で多くの人々に深い共感と感銘を与えたとして菊池寛賞を受賞した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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