内容説明
京に上った虎之助は、師の池本が幕府の隠密であることを知る。師の助けをしたいと願う虎之助は自ら暗闘に巻き込まれてゆくが、徳川幕府はいまや風前の灯、国内の騒乱は激化の一途を辿る。ある日、薩摩藩の中村半次郎が虎之助のもとを訪ねてきたのだが…。近代国家への第一歩を踏み出そうとする中、市井の一剣士の行末とは。
著者等紹介
池波正太郎[イケナミショウタロウ]
大正12(1923)年、東京に生れる。昭和30年、東京都職員を退職し、作家活動に入る。新国劇の舞台で多くの戯曲を発表し、35年、第43回直木賞を「錯乱」によって受賞。52年、第11回吉川英治文学賞を「鬼平犯科帳」その他により受賞する。63年、第36回菊池寛賞受賞。作品多数。平成2年5月3日没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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のり
59
「杉虎之助」にとってかけがえのない人が相次いでこの世を去った。予想だにしなかった経緯。悔やみきれない思いを胸に失意から敵討ちへと先を見据える。幕府の威も地に落ち始め、薩摩や長州の動きも活発になる。京は戦火にのまれ、江戸の町ですら戦々恐々の有り様。幕末の勇士達の名がちらほら出て来て虎之助がどの様に絡むのか次巻での完結が楽しみである。2020/01/25
優希
51
激動の時代の中、虎之助は2人も大切な人を失うのが切なかったです、愛する妻と父親と慕う恩師の死から、仇討ちを決意する。虎之助の行末は何処に着地するのでしょう。2023/02/26
タツ フカガワ
29
虎之助は大切な人をふたり失う。ひとりは妻となった礼子、もうひとりは育ての親でもあった恩師茂兵衛。ともに薩摩藩士によって殺されたようで、虎之助は京でふたりの仇を探し始める。殺伐として剣呑な京の町を舞台に、思わず笑いが漏れるキャラクターが、かつて虎之助が江戸で一度だけ肌を合わせたお秀(法秀尼)。池波さんの作品にはお秀のような肉感的で大胆、磊落な女性がよく出てくるけれど、これは池波さんのタイプなのかしらん、と余計なことを想像しながら完結編へ。2021/05/02
ぶんぶん
16
【図書館】いよいよ、きな臭くなって来た。 愛する「礼子」もあっけなく死んでしまった。 もう少し愛の余韻があっても良いかと思うが。 そんな中、寺田屋事件が起こり、中村半次郎、西郷吉之助が暗躍、大きく時代が変わっていく中で、虎之助はどう生きるか悩む。 その中で、遂に池本茂兵衛も再会できたというに死んでしまった。 時代はそんな虎之助に構わず大きなうねりを起こし進んで行く。 幕末を経て近代国家にますます混沌としていく。一時代を虎之助の人生と歩むように駆け抜ける物語はどうなっていくのだろうか。最終巻にいよいよ入る。2020/10/14
klu
14
寺田屋騒動 池田屋事件 京都、江戸がだいぶきな臭くなってきました。最愛の妻の死、恩師の死からたちなおれるかな?キツイですよね2020/09/02
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