出版社内容情報
子ども向けの童話ではなく「大人が読む小説」という斬新な視点で訳された名作が、美しいカラーイラストと共によみがえる特別装丁本。
内容説明
「ねえ、お願い…羊の絵を描いて」不時着した砂漠で私に声をかけてきたのは、別の星からやってきた王子さまだった。王子さまとやりとりを重ねるうちに、私の胸に去来したものとは―。作家・倉橋由美子による誉れ高い名訳が、美しい装丁と共に甦る。1943年の刊行以来、世界中を魅了し続けている名作。
著者等紹介
サン=テグジュペリ,アントワーヌ・ド[サンテグジュペリ,アントワーヌド] [Saint‐Exup´ery,Antoine de]
1900年フランス、リヨン生まれ。作家、飛行士。兵役での航空隊や航空会社のパイロットを経て、第二次世界大戦に応召後、アメリカ亡命中の43年に世界的ベストセラーとなる『星の王子さま』を発表。戦線に復帰した44年7月31日、コルシカ島から偵察飛行に飛び立ち、地中海上空で消息を絶った
倉橋由美子[クラハシユミコ]
1935年高知県生まれ。作家。大学在学中の60年、『パルタイ』でデビュー。翻訳の名手としても知られる。2005年6月10日逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ykmmr (^_^)
92
『児童文学』まではいかないけど、優しくて読みやすいと思っていた。しかし…優しいのは本当。しかし、自分たちの想像が追いつかない違う世界と、作者の飛行士としての経験や人生論がじっくりと込められた、子供にも読める『大人の文学』であった。王子様が花と関わる場面も、優しさだけではなく、彼の哲学・死生観なんかも組み込まれており、『ごんぎつね』同様、読むごとに見解・感想が変わり、昇華するのはなかなか難解かもしれない。しかし、優しい文章と挿絵、文章から感じるロマンも含めて、長く世の中に愛される大作というのはよくわかる。2021/10/18
こなな
70
ある大人にささげたい小説と記してあるとおり大人の小説である。しかし初めて読んだのは小学生の時だった。内藤先生の訳の本を確認してみると小6中学以上とある。倉橋先生も子供が読んではいけないわけではない、大人になって本気で読んでいただきたいとある。パイロットがサハラ砂漠に不時着して死に直面したときに現われた反大人の自分が王子さまである。飛行機の修理が終了し帰れるころその王子さまは消える。『体って、捨てられた古い貝殻みたいものだ。悲しくなんかないよ…』疑問に思ったことはそのままにしない姿勢の王子さま。また読もう。2023/01/21
山羊沢あかね
69
物語を読んだ時、狐が王子に求めたのが友情より愛玩に近いものだと知ってかなりの衝撃を受けた。訳者の違いはあれどこの物語は大人のための物語であり道徳を説くものではないことを実感した。とはいえ愛玩に重きをおいた人間関係はつまらない大人になりたくない反大人の、愛着ゆえに執着も強い価値観。生きていく上でお互いを尊重しあう関係を築くには足枷となることもある。反大人の自分とはいつか袂を別たなくてはならない…心の成長のためとはいえ、王子との別れは自分の一部だったものとの別れ。失うものの多さに胸が痛んだ。2020/11/19
ネギっ子gen
52
【カラー絵入り】再読したくて家中探すが、ない! 欲しい時に限って(泣)。図書館本で、と思ってネット検索すると、各種出てるんだ……家のは、内藤濯訳の岩波少年文庫だったが、あの倉橋由美子も訳していたのかと、しみじみ。それも、彼女の最後の仕事として。文春文庫。解説は2本立て。その一つが小川糸さんということで、リクエストして手に。その解説で、訳者も作者も、<もうこの世にはいない。でも、体は存在しないが、確かに、いる。/大切なものは目に見えない、というのは、きっとそういうことなのだろう>と。まったく、そう…… ⇒2020/10/05
Richard Thornburg
50
感想:★★★ 子供の頃から何度目の再読になるのかわかりません。 後半の「大切なものは、目に見えない」って言葉のリフレインも印象的なのですが、子供の頃に感じて大人になった今でも感じるのは「現実社会の生きにくさ」。 こればっかりは読む人の解釈によるのかもしれませんけど、王子様が旅の途中で出会う偏執狂的な大人たちの話は現世とあまりに被りすぎて・・・ 文字面で読むとおかしく思えるのですけど、こんな偏執狂的な「大人」は実際には周りを見渡せばいくらでも見つけられると思います。 2020/11/02