出版社内容情報
ヒマラヤで〝魔の山〟と畏怖されるナンガ・パルバットで友を亡くした立原。決着を付けるべく、再び難攻不落のその頂に挑むが……。
内容説明
標高8000メートル峰が屹立するヒマラヤで、“魔の山”と畏怖されるナンガ・パルバット。立原祐二は、前人未到の冬季登頂に失敗、友人の倉本を失った。5年後、立原は、兄の雪辱に燃える倉本晴彦と共に、再び“魔の山”と対峙する。ロシアのパーティの不穏な動き、牙を剥く過酷な天候…。頂に立つのは誰か。
著者等紹介
笹本稜平[ササモトリョウヘイ]
1951年千葉県生まれ。立教大学卒業後、出版社勤務、フリーライターを経て、2001年『時の渚』で第18回サントリーミステリー大賞と読者賞を同時受賞。04年『太平洋の薔薇』で第6回大藪春彦賞を受賞。山岳小説のほか、警察小説と、幅広いジャンルで活躍している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
タイ子
72
読むだけで寒くなるのが冬山登山の本。それも8000メートル級の山となればヒマラヤ、K2しか思い浮かばない完全に登山素人の私だが本作の山はヒマラヤの中でも魔の山と呼ばれるナンガ・バルバット。5年前に初の冬季登頂を目指すも仲間を失い断念。そして、今回再び立原、木塚、亡くなった兄の無念を晴らそうと仲間に入った倉本の弟晴彦が挑戦する。同じく初登頂を目指すロシアのパーティーの不穏な動き、晴彦の奢った態度、過酷な山の天気と事故。「そこに山があるから」ある登山家の言葉が浮かぶがそれでも何故?とやはり思ってしまう。2020/03/15
Nao Funasoko
26
心地よく読み進められた物語ではあったものの主人公の立原もその対極となる晴彦もバイプレイヤーのいずれもそのキャラクターの輪郭がはっきり浮かんでこなくなんとなくぼやけた感じがした。このジャンルには文字通り孤高の名著といえる夢枕獏の『神々の山嶺』があるのでどうしても辛口評価になってしまうのは否めない。 2019/05/16
Tadashi Tanohata
24
ラスト50Pを一気呵成に読むとえらい目にあった。激しい動悸に襲われ悪寒もする。頭痛もあるし視野も頼りがない。冗談じゃない、8000m峰には登頂していないし経験もない。その気もない。笹本稜平の山岳小説は一気呵成に読むべからず・・ちょっと待てよ、昨日の10kmランと打ちっ放しに寝不足、それか!2022/04/13
Book Lover Mr.Garakuta
17
実に面白い。只の大自然の岸壁に対する執着心や野心、世界最大の壁になぜそこまで登山家は惹かれるのだろうか、自然のもたらす環境に打ちのめされながらも男は壁に立ち向かうのである。2019/05/15
ばろっさ
6
魔の山ナンガパルバットを舞台とした小説。仲間内での心情描写に力を入れている。 絶壁での登山描写はハラハラする。が、仲間の一人晴彦の異様な気味悪さがあり、スカッとはしない。(ストーリー構成上仕方ないのかもだが)2019/11/03