出版社内容情報
『極夜行』で本屋大賞ノンフィクション賞&大佛次郎賞。最注目の探検家が、北極の、東京の、貧乏青春時代のトホホな日々を描きます。
内容説明
「じつは私、こんなにイケナイ人間なのです」―不惑をすぎても妻とケンカ、自分は原始人のニオイがすると浮かれ、忘れ物をしすぎて北極で死にそうに!非日常を追求した『極夜行』の探検家・角幡唯介が、実は小市民的すぎる日常を明かすエッセイ。文庫特典として宮坂学ヤフー会長との「脱システム」をめぐる対談を収録。
目次
不惑
母牛の怨念
忘れ物列伝
生肉と黒いツァンパ
無賃乗車
原始人のニオイ
人間とイヌ
マラリア青春記
対談 ビジネスも冒険も「脱システム」でいこう
著者等紹介
角幡唯介[カクハタユウスケ]
1976年北海道芦別生まれ。早稲田大学探検部OB。チベット、ツアンポー峡谷の未踏破地域を単独で探検。2003年、朝日新聞社に入る。08年に退社後、探検家に。『空白の五マイル チベット、世界最大のツアンポー峡谷に挑む』で開高健ノンフィクション賞、大宅壮一ノンフィクション賞、梅棹忠夫・山と探検文学賞を受賞。『雪男は向こうからやって来た』で新田次郎文学賞、『アグルーカの行方129人全員死亡、フランクリン隊が見た北極』で講談社ノンフィクション賞、『探検家の日々本本』で毎日出版文化賞書評賞、『極夜行』でYahoo!ニュース|本屋大賞ノンフィクション本大賞、大佛次郎賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kawa
39
探検の周辺事情や日常を綴るエッセイ。文章も上手いし、面白いエピソードも数多くあり読み手を引き付ける。「極夜行」のよう圧倒的冒険を決行した方のサイド・ストーリーとして楽しみました。「思いつきに呑みこまれていく」、これ名言かも。2019/07/01
ann
36
面白かった‼️ 「極夜行」ファンには絶対オススメ。シリアスな様々の探検記の裏にはこんな人間らしい、あんな事情こんな事情が溢れてたとは。氏のエッセイを読むたびに、奥様の強さに感心するのもいつものこと。ロマンチストの探検家の成功は、超現実的でしっかり者の奥様あってこそでしょうか🙂2023/09/19
hatayan
36
探検家・角幡唯介氏が36歳から40歳の間に書きためたエッセイ集。これまで発表してきた作品の本編では書けなかったエピソードを収録。チベットの住人がウンコを拭いた手で作ったと思われる団子を断れずに口にして下痢に悩まされ、若い頃は山に行く交通費を浮かすために電車のトイレに閉じこもり検札を逃れる。体臭がきつくなったのは探検を続けたせいではなく加齢臭だったというオチなど、笑える仕掛けが随所に施されているのはさすが。北極圏における人間と犬の抜き差しならない深い関係を描いた「人間とイヌ」は含蓄に富む一編として読めます。2019/06/14
活字スキー
26
「文章がどうとかいう以前に初手から間違っている。読者は何が正しいのか間違っているのかわからなくなり、世界が変わって見える」と言われて「なんだかいい感じだ」とときめく高野さんもどうかしてるが、グリーンランドにある世界最北の村で七ヶ月過ごして帰還するや、妻から「くさい。原始人のニオイがする」と言われて「オレは、この清潔で安心で安全であることばかりが尊ばれて、空気ばかり読みあっている現代消費社会におけるハミダシ者!このようなニオイを発散する経験を、お前たちは持てているのか?」とドヤる角幡さんも大概どうかしてる。2019/09/13
meow3
18
角幡さんの日常、探検家の舞台裏といった感じのエッセイと対談。若い頃の探検への取り組みと情熱、40代になった今の目標やこれからやりたいこと、人生その時々のステージによって自分の体や精神、取り巻く環境などが刻々と変わって行きその中で未来を模索する様は探検家でなくとも深く共感できる。対談の中での「今ある世界から、どう一歩ぬけでるかという勝負」という言葉が印象に残りました。早く「極夜行」を読もう。 2019/06/01