文春文庫
天下人の茶

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ 文庫判/ページ数 292p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784167911898
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

出版社内容情報

絢爛豪華な安土桃山文化の主座をしめていた茶の湯。その文化を創出した千利休と現世の支配者となった豊臣秀吉との相克の裏を描く。絢爛豪華たる安土桃山文化の主座をしめていた茶の湯。その文化を創出した男・千利休と現世の支配者となった豊臣秀吉との相克は、利休が秀吉に切腹を命じられたことによって終わりを告げた。果たしてこの争いの裏には何が隠されていたのか――。

6章からなる物語の大半は、利休の高弟だった、牧村兵部、瀬田掃部、古田織部、細川三斎(忠興)らが、視点人物として置かれている。

大陸への進出に失敗し、自らの功績を能の謡曲にして、それを演じることにのめり込んでいく秀吉の姿にはじまり、弟子たち個々の人生と利休とのかかわりを描くことで、徐々に利休の死の真相に迫っていく。

著者は、秀吉を「野心と自己顕示欲が極めて旺盛な人物。そのやろうとしたことは信長の模倣にすぎない」と分析する。一方、黄金の茶室を自ら作った芸術センスを「秀吉は独自の侘びを発見した」と評す。そこから利休との対立が発生し、さらに関係が悪化していく過程にも、新たな解釈で斬り込んでいく。

第155回直木賞候補作。

解説は永青文庫副館長の橋本麻里氏。

伊東 潤[イトウ ジュン]
著・文・その他

内容説明

政治と共に世に出、政治によって抹殺された千利休。利休の編み出した「侘数寄」の精神は、美の世界を支配した。牧村兵部、瀬田掃部、古田織部、細川忠興という利休七哲に数えられる高弟たちによって語られる、利休と秀吉との相剋。弟子たちの生涯から、利休の求めた理想の茶の湯と、その死の真相に迫っていく。

著者等紹介

伊東潤[イトウジュン]
1960年、神奈川県横浜市生まれ。早稲田大学卒業。「国を蹴った男」(講談社)で第34回吉川英治文学新人賞を、「巨鯨の海」(光文社)で第4回山田風太郎賞と第1回高校生直木賞、「峠越え」(講談社)で第20回中山義秀文学賞、「義烈千秋 天狗党西へ」(新潮社)で第2回歴史時代作家クラブ賞(作品賞)、「黒南風の海―加藤清正『文禄・慶長の役』異聞」(PHP研究所)で本屋が選ぶ時代小説大賞2011を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

三代目 びあだいまおう

289
史実と新説をない交ぜにした作品は我々を虜にする。後に茶聖と称される千利休、晩年まるで気が狂ったかの振る舞いに固執する天下人秀吉に切腹を命じられ、後世に語り継がれる程の潔き自決を遂げた。前半は弟子達が語る逸話、有名な史実。そして後半には歴史好きが叫び狂う程の驚愕の『新』説が!タイトルが示唆する捻りに『歴史の真実』に触れたかのような鳥肌モノの興奮を我々は覚えるだろう!影の天下人、この存在の思惑と謀略は読み手にとってまさに真実。恐るべきリーダビリティへの戦きと『侘び』の普及に秘め隠した真の目的に脳が沸く‼️🙇2019/12/23

岡本

117
本能寺の変、千利休陰謀説。千利休の弟子達である利休七哲から見た尊師を描いた短編集。それぞれの視点で描かれているので利休の様々な面が垣間見える。短編集とは言っても全てが利休についての話なので長編を読んでいる様な気分に。秀吉晩年期の謎の一つである利休への切腹命令。正確な一次資料が無い事から著者によって全く異なるキャラクターになる利休だが、謀略担当でここまで政治的な利休も珍しい。2019/04/12

優希

54
面白かったです。千利休が何故死を命じられ、秀吉とはどのような関係だったのかを、高弟によって語っています。本能寺の変や秀吉の天下統一もあり、戦国時代の空気感を感じ、ドキドキさせられました。千利休が天下人を通じて広めた茶道の心は今現在も継承されていますね。2021/03/13

ユメ

47
利休の人物像をどう解釈するかは、本当に作家の色が出て面白い。本書では利休を秀吉さえ意のままに操る存在として描く。茶の湯を政治に利用しようとする秀吉、政治を動かして世の中を精神的に支配しようとする利休。権力と文化の男女の愛憎のようにどろどろともつれて溶け合う関係が、静謐な茶室で繰り広げられるのが恐ろしい。秀吉とは対照的に、利休は形あるものは残さなかった。むしろそれゆえに彼は今なお人の心を波立たせる。奇道を行った人生は凡人には理解しがたいからこそ、利休は人に恐怖を抱かせると同時に人を惹きつけるのかもしれない。2019/02/09

katherine

26
堺の商家に生まれ、侘び茶を大成した千利休。利休の弟子たちの生き様を通して、少しずつ利休の目指しているもの、思想観が明らかになっていく。信長と秀吉の二代に渡り、政治を利用し変質させながら茶の湯を広めた謀略家としての利休に魅力を感じた。2020/10/07

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/13214641
  • ご注意事項