出版社内容情報
現代のタブーに迫り、戦争と平和を問い続けた国民的作家・山崎豊子。その創作の現場を五十二年間一心同体で支えた秘書が明かす。
野上 孝子[ノガミ タカコ]
著・文・その他
内容説明
現代のタブーに切り込み、戦争と平和を今に問いかけ続けた国民的作家・山崎豊子。膨大な資料を読み込み、年月の限りを尽くして取材を重ねる先生を支えた日々。編集者に意見を求め、面白い小説づくりに妥協しない作家魂と、犬を愛する女性らしい素顔を明かす秘書の回想録。巻末に山崎豊子「私を奮起させた読者」を特別収録。
目次
序章 真実の姿を伝えたい
1章 「秘書、求む」の張り紙から―『女系家族』
2章 意見無きものは去れ―『白い巨塔』から『続白い巨塔』まで
3章 金融界の聖域に挑む―『華麗なる一族』
4章 海外取材を重ねて―『不毛地帯』
5章 戦争がもたらした悲劇―『二つの祖国』
6章 中国取材の扉が開く―『大地の子』
7章 現代の流刑と空の安全―『沈まぬ太陽』
8章 「先生は、日本一の作家です」―『運命の人』『約束の海』
終章 努力する限り、人間は迷うだろう
著者等紹介
野上孝子[ノガミタカコ]
1939(昭和14)年、名古屋市生まれ。1962(昭和37)年、大阪女子大学国文科卒業。以来52年間、山崎豊子氏の秘書として仕えた。「文藝春秋」2013(平成25)年12月号掲載の「山崎豊子先生の素顔」で第75回文藝春秋読者賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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てくてく
7
大学卒業後、途中法律事務所の事務員をしていた時期はあるものの一貫して山崎豊子氏の秘書を務めた著者による回顧録。小説の構想を練る際の取材の徹底さとその活動力、仕事を離れた場における人間臭さが余すところなく表現されていて興味深く、また、山崎豊子氏の小説を再読したくなった。何度か訴訟や盗用疑惑に巻き込まれ、また引退を決意しながらも復活する様が魅力的だった。山崎氏にとっては長年秘書として傍にいてくれた著者、野上氏は運命の人だったのだろう。2021/08/13
門哉 彗遙
5
山崎豊子作品はあまりにも有名ですが、読んでいなかったことに気づきました。山崎豊子ってほんまにすごい人やったんですね。正義感とバイタリティ溢れる大阪のおばちゃん。不正を憎む心と弱者への優しい目で、ペンに一生を捧げた人だったんですね。しかし、そんな豪傑に50年も連れ添った秘書の野上さんはもしかしたら山崎豊子さんよりもすごい人だったんではないかと思います。野上さんなしでは、山崎豊子さんの偉業は達成しなかったと本を読んで感じました。2023/09/17
kaorin
2
50年秘書を務めた女性による回顧録。山崎豊子氏は、一つの作品を書き上げるのに費やす、膨大な取材や調査、どのように構想を練ったのかなどを読んでいくと、世の中に本を出すことに、並みならぬ思いと精力と誠実さをもって、自身のすべてをかけていたのだと知った。だからこそ、彼女の作品は単なる面白さを超越した深みがあり、こちらの心の深くを揺さぶるのだ。お洒落に目がない、犬が可愛くて仕方ない、などのエピソードもたくさんあり、山崎氏の凄さと共に親近感も覚える。色々な意味で稀有な作家。また読み返したいな、彼女の作品。2022/09/13
なおしょうたつ
2
ずっとそばにいる人だからこそ、わかることが満載でした。先生の性格や、本を書き上げるまでの苦労がわかった。まだ読んでない本の中で「二つの祖国」を読んで見ようと思う。2021/12/07
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