文春文庫
太陽は気を失う

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  • サイズ 文庫判/ページ数 320p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784167911355
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

出版社内容情報

一人暮らしの老母を見舞いに来た海沿いの実家で激しい地震に見舞われ、ようやく逃れた主人公が考えたこと――表題作など十四編収録。あの日、私はあと十五分も土手でぼんやりしていたら、津波に?まれていたかもしれない。奇跡のような十五分に恵まれた自分と、そうでない人とを比べて思う――。

福島県の実家で震災に遭遇した女性の実人生に基づく表題作をはじめ、ままならない人生を直視する市井の人々を描いた大人のための名品14篇。

第66回芸術選奨文部科学大臣賞受賞作

乙川 優三郎[オトカワ ユウザブロウ]
著・文・その他

内容説明

あの日、私はあと十五分も土手でぼんやりしていたら、津波に呑まれていたかもしれない。奇跡のような十五分に恵まれた自分と、そうでない人とを比べて思う―。福島県の実家で震災に遭遇した女性の実人生に基づく表題作をはじめ、ままならない人生を直視する市井の人々を描いた大人のための名品14篇。芸術選奨文部科学大臣賞受賞作。

著者等紹介

乙川優三郎[オトカワユウザブロウ]
1953年、東京都生まれ。千葉県立国府台高校卒業後、国内外のホテル勤務を経て96年、「藪燕」で第76回オール讀物新人賞を受賞し、デビュー。96年、「霧の橋」で第7回時代小説大賞、2001年、『五年の梅』で第14回山本周五郎賞を受賞。02年、『生きる』で第127回直木賞受賞。04年、『武家用心集』で第10回中山義秀文学賞、13年、『脊梁山脈』で第40回大佛次郎賞、16年、『太陽は気を失う』で第66回芸術選奨文部科学大臣賞、17年、『ロゴスの市』で第23回島清恋愛文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

じいじ

96
子供も一本立ちして、第二の人生を模索する一組の夫婦。明るく先への希望を夢見る妻と、脱力感から抜け出せない夫との対比が面白い【まだ夜は長い】。病死したへら浮子師の後を継いで、浮子(ウキ)作りで生計を立てる妻。娘を嫁に出し、夫だけを一途に愛した女の気持ちを揺るがす男が出現【坂道はおしまい】。3.11の東北大震災。生死を分けた人たちの悲しみと安堵を綴った表題作。乙川さんの描く哀愁の境地をしみじみ味わった。心地よい短篇集です。2019/11/06

KAZOO

94
乙川さんの現代文学というのは初めてでした。今まではこの方の時代小説をいくつか読んだことがありしみじみとした感じを与えてくれました。この本も14の短編が収められていて非常に堪能しました。どちらかというと男女関係のものが多いのですが後味がそんなに悪くはありませんでした。連城三紀彦のミステリー色を除いたような感じでした。今後も現代ものがあれば少し読んでいこうかと思います。2023/06/04

ふじさん

89
後15分,土手でぼんやりしていたら、私と母は津波に吞み込まれていたかもしれない。福島の実家で震災に遭遇した女性の実人生に基づく表題作をはじめ、人生の転換期を迎えて、後悔も、絶望も、格好の悪いあがきも抱え込みながら、懸命に生きる人々を慈愛の眼差しで描いた作品。いつもなら微かな光が見えるのが救いだ。乙川優三郎の現代小説では、一押しの短編集。彼の時代小説に繋がる作品に思える。好きな作品は、「悲しみがたくさん」「髪の中の宝石」「さいげつ」「まだ夜は長い」等。どれも、大人の味わいがある作品。2023/05/12

アッシュ姉

76
乙川優三郎さん11冊目。さまざまな人生の分岐点を端正な筆致で綴った大人向けの短編集。各話20ページほどの中に一人一人の人生が詰まっており、短編とは思えぬ深みと厚みにじっくり丹念に読まされた。はっとする言葉や美しい表現を反芻しながらの読書で、これまでにないほど時間を掛けて味わった。優さんの描く女性はいつの時代でも凛とした強さを持っており、背筋が伸びる思いがする。男性は定年や老後を向かえ、生き甲斐を見失い途方に暮れるなど灰色の情景が多かったが、侘しさもかき消す洗練された文章が心に沁みた。2019/02/12

さくらっこ

46
人は50歳を過ぎると、あまり良い事は起こらない。心身の衰弱、容姿の衰え、老親の介護、経済問題など。そんな人生の悲しさを様々な角度から、描いた短編集だった。『がらくたを整理して』という話の「人は年と共に物を貯めて、埋もれ、人生の儚さを知る時、その無駄に気付く」という一説が印象に残った。この年末に断捨離しよう。『海にたどりつけない川』では、癌に罹患した男が昔の恋人が経営する場末のスナックを訪ねる。彼女もまた癌にかかり、そっくりな娘が接客していて驚く。切ないけれどもうひと頑張りしよう、そう思った1冊だった。2023/12/10

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