文春文庫<br> 無銭横町

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文春文庫
無銭横町

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  • サイズ 文庫判/ページ数 192p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784167909772
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

出版社内容情報

田中英光の作に出会い、人生が変わりゆく十代最後の日々。原稿用紙を前に呻吟する現在の姿。彩り豊かな六作に名品「一日」を新併録。

内容説明

私小説への殉情、無頼派の矜持。横浜での生活立て直しに失敗した北町貫多は再び都内に戻っていた。そして二十歳になった彼は、その日も野良犬のように金策に奔走するが…(「無銭横町」)。筆色冴えわたる六篇に、芥川賞選考会を前にして、藤澤清造の墓前にぬかずく名品「一日」を新併録。

著者等紹介

西村賢太[ニシムラケンタ]
1967年、東京都生まれ。中卒(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

だんぼ

300
幼少期から中学卒業までの桜に関する記憶は・・ そんなことはどうでもよく まずは牛丼の特盛をかっ込み 味噌汁をすすって長丁場に備えるべく ひとすじ またひとすじと降り落ちてきている薄闇の光を うつむき加減にいそぐのだった2025/01/19

メタボン

38
☆☆☆★ 破壊力は落ちるものの、相変わらずそのさもしい文章が面白く、西村ワールドにはまってしまう。表題作で、インスタントラーメンをポリ袋に入れ、それに水を浸して食べるという究極の貧乏食がすさまじい。秋恵の余計な一言と仕草に修羅場の予感を抱かせる「邪煙の充ちゆく」も傑作。2021/07/20

とし

21
相変わらずの主人公北町貫多の怠惰ながらも自分の好きなことに注ぐエネルギーには驚くばかりです。お金がないので歩いて神保町の古本屋街をまわる貫多。敬愛する作家に対する信仰に近いほどの情熱、貧乏でお金がないながらもかけている姿はストイックでまさに最後の弟子のような感じですね。作品の方は、短編で普段の日常生活が描かれています。西村賢太さんは、DVで執着心が強い主人公の貫多を面白く描いていますが、その土台となる文体や文章はさすが上手いなと思いました。焼酎、煙草、カップラーメンなど貫多の生活には欠かせない食糧ですね。2018/01/07

澤水月

13
「桜」を題材に私小説に出来ぬかと考え震災後花見自粛求められた追想綴る「朧夜」。「3・ 11〟なぞと称し」「自らの問題として向き合うことを、恰も〝文学者〟たる己れに課せられた使命でもあるかのように…ムキになっている同業者…否定はしないが…オッチョコチョイもいるものだ…ノンフィクション作家ならイザ知らず、また当人に直接的な被害があったのならイザ知らず、そうでもない限りは、そんなのはたかが小説書き風情のなすべき仕事ではない」。震災直後の芥川受賞者の言葉として重い。若き貫多の貧困話ほか受賞後の人間関係なども見える2023/02/06

ぽち

12
「菰を被りて夏を待つ」北町貫多。十九歳。田中英光蒐集。「邪煙の充ちゆく」貫多。秋恵もの。ヤニ臭さに気を遣う。どうぞどうぞ。「朧夜」貫多。秋恵出奔より十年後。文豪界短編締切前「酒と酒の合間に」北町貫多。漫才コンビ「A」のT.S氏自伝小説S文庫後書き。「貫多、激怒す――または「或る中年男の独言」」メタ構造「無銭横丁」北町貫多。二十歳。椎名町。母への無心失敗。田中英光肉筆書簡の内金。「一日」私。一人称。芥川賞受賞前(直前?)2022/05/03

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