出版社内容情報
幼い頃母が作ってくれたホットケーキは格別の味。一口食べた瞬間甦る懐かしい味の記憶を心温まる文章と絵で綴るビジュアルエッセイ。
内容説明
母手作りの、バターがとろける甘いホットケーキ。父が大好きだった、少し焦げ目がついたビーフン。遅い青春時代に食べた、夜明けのペヤング…。味の記憶をたどると、眠っていた思い出の扉が開き、胸いっぱいになった事はありませんか?優しい視点でユーモアたっぷり、胸にホロリとくる22品の美味しいカラーイラストエッセイ集。
目次
読書のおとも
「かっくまら」の鳩サブレー
一筋の梅の香り
桃饅頭と中国の恋の物語
日常の手触り
潮干狩りでアースする
四月、桜の木の下で
九歳の夏、岩手へ行く
小さなものにこそ、心を篭める
父と焼きビーフン〔ほか〕
著者等紹介
森下典子[モリシタノリコ]
1956年神奈川県生まれ。日本女子大学文学部国文学科卒。大学時代から「週刊朝日」連載の人気コラム「デキゴトロジー」の取材記者として活躍。その体験をまとめた『典奴どすえ』を87年に出版後、ルポライター、エッセイストとして活躍を続ける(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
馨
204
初読み作家さんの食エッセイ。挿絵が可愛い上に美味しそう。食の話よりも、そのメニューごとの思出話の方が多かったかな。カレーのお父さんのエピソードや、柿の種を食べながら寝転がって読書していた話が良かったです。2019/05/16
佐々陽太朗(K.Tsubota)
158
「幸せ」のかたちはいろいろあるだろう。森下さんは日常にある「幸せ」を切り取って見せてくれる。まるで「おいしいたべもの」をお裾分けするかのように。森下さんの綴るたべものの思い出、その多くは家族と過ごした時間の記憶だが、私はそこに温かく胸がきゅっとするような幸せを感じる。幸せの脆さを承知のうえで、人生を真摯な想いで大切に生きてこられたであろう著者の言葉に心温まりました。大船軒の「鰺の押寿し」を食べたい。次に東京出張したときの帰りはこれだな。いや崎陽軒の「シウマイ弁当」にすべきか。う~ん、これは迷う・・・2018/04/19
おくちゃん🌷柳緑花紅
141
恋しい!読み終えて、私も家族の思い出に浸った。母の作るさらさらのアサリ入りのホワイトシチュー、ひじきとお豆腐を合えたお醤油味の惣菜、冬の日玄関を開けると漂ってきたお豆を煮る匂い。ふかしたジャガイモにたっぷりのバターや、塩辛をのせて食べた場面。不二家のレストランに行って初めて食べたタルタルソースとエビフライ。丸井さんの最上階の食堂で小さな旗がついたお子様ランチ、スタンドにソフトクリーム、三越で買ったフリル付きと刺繍付きのソックス。次々と思い出される幸せの時がここにあった。こいしい思い出が。2017/11/15
ぶち
128
『いとしい食べ物』の続編。前作は、どちらかというと幼い頃の楽しい思い出が多かったのですが、今作では思春期から大人になる頃の思い出が多く、少し心の機微に触れることも書かれています。お父様が大好きだった焼きビーフンのエピソード、青春時代に食べた夜明けのペヤングのエピソード。私も自身の父との食事を思い出したり、経済的に少し苦しかった頃の食事を思い出したり、共感することが多くありました。そして、シウマイ弁当、鯵の押し寿司など、神奈川のお弁当が毎回取り上げられていて、ほんとうに嬉しくなっちゃいます。2021/02/12
紫綺
126
「いとしいたべもの」の続編。同じ昭和三十年代の私にとって宝物のようなエッセイ本だった。ノスタルジックな22のメニューと、それぞれに纏わるちょっと物悲しいエピソードが心に沁みる。2018/01/14