出版社内容情報
夢に亡くなったママが現れたのは、都が陵と暮らしはじめてからだった。きょうだいが辿りついた愛のかたちとは。読売文学賞受賞作。
内容説明
1996年、わたしと弟の陵はこの家に二人で戻ってきた。ママが死んだ部屋と、手をふれてはならないと決めて南京錠をかけた部屋のある古い家に。夢に現われたママに、わたしは呼びかける。「ママはどうしてパパと暮らしていたの」―愛と人生の最も謎めいた部分に迫る静謐な長編。読売文学賞受賞作。
著者等紹介
川上弘美[カワカミヒロミ]
1958(昭和33)年、東京都生まれ。お茶の水女子大学理学部卒業。94年、「神様」で第1回パスカル短篇文学新人賞を受賞。96年、「蛇を踏む」で第115回芥川賞を受賞。01年、『センセイの鞄』で谷崎潤一郎賞、07年、『真鶴』で芸術選奨文部科学大臣賞、14年、『水声』で読売文学賞、16年、『大きな鳥にさらわれないよう』で泉鏡花文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
yoshida
117
不思議な家族の物語。両親は兄妹であり、子供である姉弟は惹かれ合う。姉弟の実の父親は別にある。とても風変わりな設定である。何故だろう。川上弘美さんの丹念な言葉により、この家族が自然に思えてくる。作品に流れる静謐さ。静かに暮らす姉と弟。戦前の祖父母の頃から流れる生活。そこにある出来事は確かに不穏なのだ。だが、それは自然であり、当然と読者に感じさせる何かがある。それは川上弘美さんの筆力によるものか。私はかつて村上春樹さんの文章が好きで読み耽っていた。川上弘美さんの文章にも静かに読ませる引力がある。印象深い作品。2022/02/20
優希
101
読売文学賞受賞作。愛と人生と、最も大切なことを考えさせられました。それぞれ心に抱えるものがあり、切なさと苦しさがあるものです。それが美しく人生の中で輝いているのではないでしょうか。明確な言葉ではなくても、それぞれの言動が心にスッと入ってくるのです。静かに余韻に浸る感覚も好みでした。2019/07/27
あも
98
水の記憶。循環する水と時間。共に暮らす50代の不思議な姉弟。こどもの頃。母が亡くなった20年前。更に昔。時を行き来し、ぽつりぽつりと雨垂れが溜まり形を成すように、輪郭が見えてくる。普通ってなんだろう。誰を傷付けるでもない普通じゃなさは誰にも責める筋合いなんてないのにな。時間を不可逆に流れるものと認識してる生き物は人間だけなんじゃないか。本当はもっと自由で融通無碍で過去も未来も混然一体となってここにあるのに、なんて。ちょっとふわふわしてて面白いとは言い難いが、それでも川上さんへの評価は揺るがないのが凄い所。2018/06/22
ふじさん
95
兄と妹が夫婦となり、その娘と息子が同棲し恋愛関係に、一般的には許されない。しかし、そこにあるのは仲がよく健やかで、一人一人が別々な個性として存在し、互いに互いを尊敬している家族が存在する。これは、ある家族の話であり、姉と弟の物語であり、個性豊かな母と娘の物語でもある。家族とは?愛とは?社会とは?この大きなテーマに、川上弘美は、個として存在のすることの大切さを説いているように思えてならない。 2021/04/12
エドワード
83
都と陵の姉弟、昭和三十年代生まれの二人の人生。パパと呼んだ人は本当のパパじゃなかった。ママはがんに冒されて死ぬ。昭和は平成に変わり、今は21世紀だ。川上さんも江國さんも、私も昭和三十年代生まれ。セブンアップ、コーナーのついた白黒写真が懐かしい。「もう五年で還暦だな」は解る。「老後」はしっくり来ない。二人の家の屋根が壊れ<全体がどうしようもなく疲れている>哀しさ。「降りたい時に降りることはできない」「降りたくない時に降りさせられる」そうだよね。それでも透明感を失わず、ひらひらと暮らしていきそうな二人に共感。2017/08/01
-
- 電子書籍
- トイガン解体新書 東京マルイ次世代電動…
-
- DVD
- リトルバスターズ!7【通常版】




